ネットビジネスといわれるものに、どのようなものがあるのか、まず整理しました。
1.インターネットプロバイダ
インターネットへの接続手段を提供して利益を得るビジネスです。
インターネットの商用利用が始まったころは、従量制の課金であったため、プロバイダ各社は接続料金を稼ごうとコンテンツ作りを競っていました。
2.EC(Electronic Commerce)、電子商取引
ECとは広い意味でネットワークを利用した商取引です。
インターネットでは、AmazonのようにWebサイトで商品を販売するビジネスが、代表的なものです。
売るものには、本や家電製品のように実体のあるものと、音楽、電子書籍のように使用する権利だけを売るものがあります。
通常の商店の形態とは異なり、在庫を持たずに、注文を受けてから仕入れて発送するドロップシッピングという方法もあります。
ブックオフで格安の本を見つけ、Amazonで高く売るせどりと呼ばれる手法もあります。
BUYMA(バイマ)のような、海外の売り手と国内の買い手のブランド品売買を仲介するビジネスも、この範疇です。
オークションもECの一部です。
オークションには、オークションサイトを運営する側のビジネスと利用者側のビジネスと両面があります。
運営側には手数料と広告で利益を得るビジネスがあります。
利用者側には、自分が使用しているもの、あるいは自分が仕入れたものを出品し、高い値段で落札されて利益を得るビジネスがあります。
3.広告
Webサイトや電子メールに広告を出し、広告主から利益を得るビジネスです。
表示するだけで費用が発生する広告、クリックされて費用が発生するクリック報酬型広告、商品の申し込みがあって費用が発生する広告があります。
Googleのような検索エンジン、Yahoo!のようなポータルサイト、サイバーエージェントのような無料ブログサービスもこの範疇に入ります。
これらのサイトは、広告を見てもらうための手法が違うだけと考えられます。
ブログやメールマガジンで商品を紹介するアフィリエイトもあります。
商品を紹介して紹介料を得るアフィリエイトも広告の一種です。
他人のメルマガをブログや自分のメルマガ内で紹介し、登録してもらうことで紹介料を得るオプトインアフィリエイトもあります。
4.投資
株やFXなどをインターネットで取引するビジネスです。
インターネットを使うことにより、注文が容易になり、市場の情報も豊富に得られるようになりました。
しかし、インターネットがなければできないビジネスではありませんので、ネットビジネスと言って良いのか疑問です。
5.暗号資産
電子的なデータを不特定の人に対して代金の支払い等に使用する仕組みです。
その電子的データを複製できないようにするためにブロックチェーンという仕組みが使われています。
もともと価値のない電子データですが、値上がりすると考える人が買います。
そのため、乱高下し貯蓄にも取引にも不向きですが、取引が匿名でできるので非合法な取引などで使われています。
また、ポンジ・スキームと言われる「出資を募り、運用益を配当金として支払う」と言って行われる詐欺にも使われています。
6.NFT(Non-Fungible Token)
暗号資産で使われたブロックチェーンを画像などに適用して、偽造できないようにしたものです。
初期のコンピュータゲームで使われたようなドット絵などが取引され、値上がりすると考える人が買っています。
また、ゲームのアイテムに適用し、希少なアイテムを高価で取引できるようにして、射幸心をあおることにも使われています。
また、暗号資産と同じようにポンジ・スキームに使われています。
おわりに
ネットベンチャーの起業ブームがマネーゲームと化し、既得権益を持つ支配層からつぶされたのが2000年代初頭でした。
そのときからネットビジネスはうさんくさい目で見られるようになりました。
もともと日本には、実体を伴わない情報にはお金を払わない文化がありました。
コンピュータのソフトウェアやサービスにも、なかなかお金を払ってもらえませんでした。
ネットビジネスの収益の基本は、ECと広告です。
ようやく日本でも情報に対してお金を払うことに抵抗がない人が増えてきました。
この流れを健全に育てていきたいものです。
ネットビジネスにはまだ不健全なものがつきまとっています。
ポンジ・スキームもその一つです。
まともな投資かどうかを見極める判断力が必要です。
また、ステマもあります。
自分が使ってもいない商品を、あたかも使っているかのように、お金をもらって宣伝する行為です。
ステマの最悪の例が、ペニーオークションを宣伝し詐欺行為の片棒を担いだ芸能人です。
ペニーオークションは、毎回の入札ごとに手数料がかかるオークションです。
開始価格が低額で一回の入札金額の単位も低額で、安く落札できそうな錯覚を起こします。
しかし、競い合って何回も入札すると手数料が高額になります。落札できなくても手数料はかえってきません。
入札者側からは、本当に落札者がいるのか疑問がわく仕組みです。
実際にいなかったのですが、落札してもいない品物を安く落札しましたと宣伝した芸能人がいました。
それを信じてペニーオークションに参加した人も多いと思います。
自分が使ってもいない商品を、使って良かったと宣伝するような行為を排除することが、ネットビジネスの健全化には必要です。