文章の書き方の本です。しかし、修飾語と被修飾語は近づけましょうとか、主語と述語をきちんと対応させましょうというレベルの書き方ではありません。ブログの書き方でもありません、小説の書き方でもありません。いわゆる技法の本ではありません。文章を書く哲学や心構えの本です。そんな本から印象に残った5点を紹介します。
1.文章修行
文章修行の基本は、10分でも20分でも1時間でも制限時間を決めて文章を書くことに没頭することです。書いた文章を読み返してはいけません。書いたものを修正してはいけません。誤字や句読点、文法も気にする必要はありません。
論理的に考えてはいけません。書いているうちに、何かが心に浮かんできたらそれに飛びつき書き続けます。そこにエネルギーが潜んでいます。
2.題材リスト
書くことが思いつかない時のために、書く題材を思いついたときに書き留めておきます。題材のためのリストを作ります。日常生活の中に視線が向かい、自分の生活やその細部との関わりから文章が生まれてくるようになります。
3.内なる編集者
文章を書くときは、自分の中の創造者と編集者を切り離すことがたいせつです。編集者は、内なる検閲者と言ってもいいかもしれません。書いた文章をこき下ろす内なる声です。
創造者がのびのびと表現できるようにしなければなりません。編集者があまりにやかましい時は、編集者の言っていることを書き出してみます。編集者を一度体の外に出してしまえば、無視できるようになります。あとはひたすら書き続けるだけです。
4.メタファー
書くときに思考を拡大すれば、アリがゾウに、男が女に見えるようになります。あらゆるものの境が透明になり、一切の分離が消えます。それがメタファーです。
アリとゾウが似ていると言うのではありません。メタファーとは、アリはゾウであると言い切ることです。論理や知性とはまったく別の意識から生まれるものです。それは、決まりきった物の見方から外れようとする意志と、アリとゾウが一体に見えるまで心を開く勇気から生まれます。
5.ディテール
文章には、オリジナルなディテールすなわち自分独自のディテールを使います。ものごとの過去・現在のディテールをありのままに書き表すことです。
身の回りのディテールに気を配ります。そうすれば、まわりのものは自然に体の中に入ってきて、文章を書くときに容易に思い出せます。
まとめ
文章修行は、始めてみたいと思います。一定の時間、書くことに没頭します。ただし書いたものは、公表できるものではありません。
題材リストは、このブログを書くために作っています。紙の手帳とEvernoteに記録しています。紙の手帳とEvernoteを併用しているのは、個人の電子機器を使えない場所にいる時間が長いためです。
内なる編集者は、ブログを書くときも邪魔をします。慣れてくると無視できます。メタファーは、積極的に使っていきたいと思います。ディテールは文章の命です。建築と同じく、神はディテールに宿ります。
文章を書く人は、一度は読むべき本です。