匿名でネットを使うとき、実社会では他人の目を気にして言えないことを平気で言う人がいます。そういう人の心理にはいくつかのパターンがあります。
1.正義の味方
未成年者の飲酒、喫煙などの犯罪自慢を見つけ出し、さらし者にして攻撃する人です。相手が罪を犯していますから、大義名分が立ちます。
規則を破ることが許せない人、自分は窮屈な規則を守って生きているのにその規則を破る人を許せないと感じる人です。
心の奥底に自分も規則などに縛られずに行動したいという欲望があり、それを抑えつけているために、なおさら規則を平気で破る人を許せなくなります。心の奥底には、規則を破る行動をとれる人への憧れさえあります。
2.プチ正義の味方
実世界では見逃すようなささいなミスなどをあげつらい攻撃する人です。単独で生息することは珍しく、多くの場合「正義の味方」と共に行動します。
正義の味方が犯罪行為を攻撃するのに対し、プチ正義の味方はお詫びの言葉などに含まれるちょっとした矛盾や適切とは言えない言葉づかいなどを見つけ攻撃します。そのようなことに気づく人ですから、もともと細やかな神経をもっている人です。
相手は不祥事を起こしてお詫びする人などで、お詫びしなければならない立場の人が、さらにミスを重ねることが我慢できません。常に完璧を要求する人です。
3.劣等感の裏返し
友人と食事をしている投稿に対し、「男がいる自慢かよ」のように、はたから見ると意味不明なカラミ方をする人がいます。
相手が自分の劣等感と同じ状態であるにもかかわらず、それを劣等感と感じていない人に突っかかります。相手は、そんなことに劣等感を持つ人がいることに気づきません。それがなおさら癇に障ります。本人は繊細な自分の気持ちが傷つけられたと感じます。
相手の発言を自慢と受け取り、勝手に傷つき、激昂に変わります。自分は弱者であり、強者に対する抗議の形をとるため、正義の味方と似た心理になります。自分と同様な弱者が傷つかないように守っているという心理です。
4.差別意識
人種差別主義者が差別の対象を攻撃するものです。差別の対象をほめる人も攻撃します。差別に合理的な理由などありません。とにかく自分が差別意識を持っているものを貶めようとします。
5.狭い視野
ネットでの検索を知らない人に、「ググれカス」と言うたぐいのものです。自分にとって当たり前のものは、他人にとっても当たり前であると思い込んでいます。
立場や環境の違いなどを考えることができません。日本語の投稿であれば、投稿した人は日本人であり、日本人は皆同じだと考えます。自分の思考の枠を超えることができません。
おわりに
他にもあるかと思いますが、匿名のネットで実世界では言えないことをいう人の心理を分類してみました。
ネットでは一見匿名に見えても、完全な匿名はありません。匿名だからと投稿したものが、あとから本人が特定できてしまう場合があります。
実世界で言えないことは、匿名のネットでも言わないほうが賢明です。逆に考えると、ネットは実名で使っていたほうが、常に世界に対して発信していると意識でき、かえって安全だと言えます。