大きな組織で働いている人は、人脈を勘違いしがちです。多くの人と一緒に仕事をし、多くの人と知り合い、困ったことがあればたくさんの協力してくれる人がいます。それは、大きな組織の一員に対する態度であり、決してあなたに対してのものではありません。
大組織における人脈とは、どれだけ多くの人を知っているか、どれだけ大きな金額を扱う仕事をしていたかに依存するといっても過言ではありません。個人の力はあまり関係ありません。
私が会社に入った時、どうして会社に入ったばかりの新入社員ことを、他の会社の人たちが聞いてくれるのか奇妙に感じました。そのうち、私が大組織の一員だからだということに気づきました。そんな環境で何十年も働いていると、それが当たり前のことだと考えてしまう人もいます。
それを思い知らされるのが退職したときです。大きな組織にいたというだけの人に興味のある人はいません。潮が引くように人が去っていくそうです。
ときどき、大組織の退職者だから人脈が豊富だろうと考えて採用する中小企業の話を聞くことがあります。多くの場合、期待はずれに終わります。昔の上司が会社に来ても、今、何ができるかが問題であり、なにもなければ内心では迷惑に思っている人がほとんどです。
特殊な能力を持っている人であれば、大組織を退職した後でも重用されます。技術は時代と共に変化します。特にIT技術の変化は急激です。そのため、一昔前の技術に精通していてもあまり役に立ちません。むしろ底流を流れる技術の哲学を理解している方が、役にたつものです。そのような人は、個人としても十分にやっていける人です。
本書はそんな個人の人脈の本です。大組織の人脈の本ではありません。それでは、本書のさわりを紹介しましょう。
1.GIVE
まずは、自分が他人に貢献できることをすることです。相手がよろこぶことをしていれば、いつかは自分に戻ってきます。しかし、見返りを期待してはいけません。「情けは人の為ならず」とか「GIVEの5乗」とか、同様の言葉はたくさんあります。
そのためには、自分が他人に貢献できるものを持っていなければなりません。人に貢献できるものがあって初めて人に与えることができるのです。
2.夢を宣言する
自らの夢を宣言して行動していると、応援してくれる人が現れます。セレンディピティーが働いて、思いがけない出会いもあります。成功とはどのような人と知り合うかで決まります。
まとめ
本書に出ている細かいテクニックには賛否両論があると思います。ソーシャルメディアの使い方もさまざまです。しかし、基本は同じです。人を応援して行動することです。自分の夢を宣言していれば、応援してくれる人が現れるものです。