『お金はいつも正しい』には、堀江貴文さんのお金に対する考え方が書かれています。賛否両論があると思いますが、目にとまった4点を紹介します。
お金=信用
お札は単なる紙切れで、日本銀行を信用しているから皆が使っているだけです。
企業も信用があれば、社債を発行してお金を調達できます。信用があればお金は手に入るため、「お金=信用」という公式が成り立ちます。
以前『ビットコインについてのわかりやすい説明』という記事を書いていますが、ビットコインが流通するかどうかも、ビットコインが信用を得られるかどうかで決まります。
日本で成果主義が根づかない理由
日本で成果主義が根づかない理由は、成果を測定するための仕組みがうまくできないためです。
「人により評価の異なる状況で、成果を客観的に測定することができるのか?」「成果を測定しにくい仕事はどうするのか?」といった問題があります。
そのような問題をきちんと解決せずに評価するため、評価はあいまいになり、結局は、自分がかわいいと思う部下を高く評価します。いわゆる気配りのきく人、別の言葉でいえばおべっかのうまい人が出世します。
堀江さんのライブドア時代の給与査定システムは、360度評価だったそうです。匿名で、上司は評価に加わらず、相互にたくさんの人が評価し合ったそうです。ライブドアに勤めていた人からの不平不満はなかったということですが、会社が成長を続けていたということもあります。
360度評価の欠点は、お互いになあなあで高い評価をつけあうことになりがちなことです。会社が成長していれば、社員全員の給与を上げることができますから、制度の欠点は目につきません。
会社の業績が落ち、給与総額を下げざるを得なくなると、高い評価にもかかわらず、給与が下がる人が出てきて、不満が高まるはずです。
貯金と借金
貯金は、病気になったときなど、まさかのときのためにしている人が多いと思います。
堀江さんの考えは、貯金などせず、ふだんから仲間・友達を大事にして、いざというときには助けてもらえばいいというものです。
多くの人は、友達には迷惑をかけたくないと思います。借金は友達をなくすと言います。また、頭が上がらなくなるのが嫌だと考えます。
借金についても、堀江さんは、貯金してからビジネスを始めるより、時間を買ってチャンスを逃すなと言っています。
自動車を買うときも現金よりもローンで買うことを勧めています。金利が安いからという理由ですが、いくら安くても無駄な金利を払う理由にはなりません。
貯金をせず、借金をして起業するというのは、バブル時代の考え方です。堀江さんも古い考え方にとらわれている印象を受けました。
ギャンブル
堀江さんは、日本にカジノがないために、ギャンブル依存症の富裕層が海外のカジノで負けて、外貨が流出していることを嘆いています。カジノの特徴は、寺銭が小さく、高い掛け金で遊べることです。
カジノがないことによる外貨の流出よりも、日本にカジノをつくることの影響を考えるべきです。
日本にカジノを作っても、ギャンブル依存症の日本人が極端に増えるとは思いません。ギャンブルはすでに日本にもあるためです。
日本にカジノができたとしても、ギャンブル人口の増加はわずかで、一部の人が他のギャンブルからカジノに移るぐらいです。
グローバル化した世界ですから、ギャンブル依存症の人は、世界中から集まってきます。カジノを作るかどうかは、ギャンブル依存症の人が集まってくると日本がどうなるかから判断すべきです。
『お金はいつも正しい』は文庫になっています。