サントリーがレモンジーナに続いてヨーグリーナも品薄のため出荷停止としました。
ヨーグリーナの品切れはなぜ起きたのか。大塚徳明企画部長によると、昨年投入した天然水のフレーバーウオーター「天然水&朝摘みオレンジ」の実績を踏まえ、4月の販売量は同商品の1.5倍の120万ケースを計画していた。ところが、初回の出荷量は70万ケースと想定を超え、小売りからの2回目の発注となる「帰り注文」を集計した時点で月内に必要な出荷量が190万ケース程度であることが判明。安定供給が難しいと判断したという。
発売に先立っては営業や生産など各部門が密に連携し、過去の新商品の1日当たりの販売量や販売動向を分析した上で、取引先とも商談しながら生産・販売計画を練り上げてきたというサントリー食品。それでも、レモンジーナと同様、今回もSNS(交流サイト)などネットを通じて商品の話題が瞬間的に拡散し、「あっという間に知名度が上がり、需要予測がし切れなかった」(小郷氏)。結果として想定をはるかに上回る販売量、受注量になったという。
引用元:レモンの次はヨーグルト、サントリーがまたも“秒速”品切れ (2ページ目):日経ビジネスオンライン
SNSで拡散すると、特定の地域や年齢層だけに広まります。ある地域では店頭に山積みなのに、一部の地域のスーパーでは売り切れということになります。そのため、自作自演のあおり商法ではないかといううわさがネットで飛び交いました。
小売りからの2回目の発注で4月の販売量計画を大幅に超過したということです。一部で売り切れているという話から、2回目の発注を大幅に増やした小売店が多かったのかもしれません。
SNSによるヒットの怖いところは、一時的なヒットで終わる可能性が高いところです。これでサントリーがレモンジーナとヨーグリーナの大量生産体制を整えたとしても、体制が整った時にはブームが終わっているということもありえます。
もともと新商品がヒットするかどうかの予測は困難です。間違いなくヒットすると思われたものがあまり売れずに、予想外のものがヒットすることも珍しくありません。
そこにSNSのバイアスがかかります。誰か影響力の大きな人がほめたり、リツイートしたりするだけで、爆発的に広まることもあります。
サントリーはSNSによる拡散が今回の品切れの原因だと説明しています。サントリーがきっかけとなった事象をつかんでいるかどうかわかりませんが、分かっているのならば、対策を立てることもできそうです。
新商品を発売するときは、頻繁に新商品名で検索し、どこかで拡散していないかを監視します。新商品の配送をネット上の拡散状況に合わせてダイナミックに変えことにより、ある程度の対応はできます。
小売りからの2回目の発注で販売計画を大幅に超過したからと言って、出荷停止とする理由がわかりません。商品が足りないならば、足りないながらも2回目の発注量に比例した量を収めるとかできないのでしょうか?
出荷停止は混乱を防ぐためかもしれません。そもそも小売店の要求に応じて出荷するだけという体制に問題があります。
それとも生産量を増やすには、製造ラインを一時止めずにはできないということでしょうか?既存の製造ラインに影響を与えずに製造ラインを増やすことができないのでしょうか?
先に引用した記事には、水源がボトルネックだということも書かれています。ボトルネックがあるならば、なおさら出荷停止をしても意味がありません。ボトルネックの範囲で製造を増やすしか方法はありません。
発売時には販売エリアや業態を限定しながら順次拡大するという手法も検討すると書かれています。しかし、実際の販売状況を見てから製造ラインを増やすのでは遅すぎます。
将来は、ネットでの話題の状況も監視しながら、商品の配送をコントロールし、製造も柔軟に対応させることが求められます。商品の出荷を小売店の要求に応じるだけという今の体制を改めなければなりません。