おかしな暴論――60歳以上の選挙権はく奪 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

おかしな暴論――60歳以上の選挙権はく奪

選挙

おかしな暴論がネットに流れていました。

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60歳以上の選挙権はく奪

日本では来年から18歳以上に選挙権が認められますが、17歳までの日本人には選挙権は認められていません。

ならば、日本人の男性の平均寿命である78歳から18を引いて、60歳以上の選挙権ははく奪でいいんじゃないかという暴論です。

18歳未満に選挙権が与えられないのは、知識も経験も不足しているからと理由づけ、60歳を過ぎたら、「落ち着いた、冷静な、的確な未来に向けての判断」ができないから選挙権をはく奪すると言っています。個人差があるのは18歳未満も60歳以上も同じだとしています。

納税額により選挙権を与える?

また、納税していない人の選挙権をはく奪という話も出ています。こちらはさらにおかしな話になっています。

「では、せめて納税している間は選挙権があってもいいのではないか?」
というものでした。18歳未満は知識もないこともありますが、国民の3大義務の一つである「納税」をしていない、と。であれば、働いて納税しているお年寄りは、選挙権はそのままでも良いのではないか?という話をしました。年金をもらっているだけの方々には、さすがに『未来を決めるため』の選挙からは身を引いてもらう、と。つまり「隠居」していただく、と。そんなシステムはどうか?という話をしました。

消費税は子供でも納税していますから、ここでいう納税は直接税、あるいは所得税を指しているのでしょう。

収入が年金だけでも所得税を払っている人は多いですから、一定以上の所得税を払っている人という意味で言っているのだと思います。年金だけの人は所得税を払っていないと思っているとしたら、あまりにも無知です。

大正時代に勝ち取った普通選挙を放棄しようという試みです。一定額以上の所得税を納めている人にだけ選挙権を与えようということです。専業主婦や主夫には選挙権を与えないという考えです。

それとも同時に年齢の制限もつけるのでしょうか? いずれにせよ年齢に合理的な理由はありません。

真の問題

納税額で選挙権の有無を決めるという話を別にしても、60歳以上で判断力を失うという発想はどこから出てくるのでしょうか?

国を動かす選挙権を、判断力を失った人に与えるのはおかしいというならば、正常な判断力を有しているかどうかの試験をする方がましです。

どのような試験にするか、どのように試験を実施するか、実施するための課題は山積みで現実的ではありません。

年を取ったからといって判断力は落ちるものではありません。一部の知的能力は死ぬまで伸び続けます。

18歳以上に選挙権を与えるというのは、まあ妥当なところです。子供にも選挙権を与え、親が子供の代理として投票するドメイン投票法もおもしろいと思います。

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60歳以上から選挙権はく奪のような暴論が出てくるのは、老人の投票率が高く、若者の投票率が低いためです。現在60歳以上の人は、安保闘争などを経験していて政治に関心を持つ人が多いのも事実です。

しかし、問題は若年層の投票率の低さです。東京都選挙管理委員会の調査では、平成26年衆議院議員選挙の主な棄権理由のトップは、「仕事が忙しく、時間がなかったから」で29.3%です。

「選挙」について話をしよう!

しかし、『ネット投票ができないのは技術的問題にあらず政治的問題である』にも書きましたが、期日前投票に行けないほど忙しい人ばかりとは思えません。若年層は、政治よりも仕事や遊びの方が重要度、優先度が高いと考え、投票に行かないのです。

まとめ

60歳以上の選挙権はく奪は、まじめに考慮する価値もない暴論です。子供にも選挙権を与え、親が子供の代理として投票するドメイン投票法には一考の価値があります。

しかし、一番の問題は若年層の投票率の低さ、政治への関心の低さです。

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