あなたは上司から無理な仕事を強要されたらどうしますか?
「できません。私には無理です。」とすぐに答える人もいます。やる気もスキルもないダメな部下という烙印を押されます。
上司の要求を聞きながら、締め切り時に「ダメでした」という人もいます。この場合は、上司も本人も問題です。途中のチェックがないということです。
どちらもあり得ないと考える人でも、無理な仕事を推し進め、玉砕する人はいるのではないでしょうか? いわゆるデス・マーチに陥るプロジェクトです。
ITシステムの開発では珍しくありません。日経ITproの『記者の眼 – 上司から無理な仕事を強要されたら』でも似たような事例が示されています。
「1年後に△△情報システムを完成させてほしい」
中略
システム要件、納期、開発費、開発要員のすべてに問題があり1年では到底開発できない。そういう案件だったら火星探検に近い。「できません」と言うしかないが上司が納得せず「開発せよ」と強要してきたらどうするか。「正気ですか」と問うてもよいのか。
中略
「国が決めたことだ。やってもらわないと困る」
「託送業務システムは電力自由化の要。ぜひうちの実績にしておきたい」
「頭からできないと決め付けるのかいかがなものか。なんとかするのが技術者である君たちの仕事ではないか」
中略
「仕方がない。上が決めたことだ」
「無理は承知だがやってくれ」
「決まった以上、やるしかない」
プロジェクトの条件を変える
このようなときは、できるように変えるしかありません。
システム要件を変える手があります。納期や予算に合わせて、できることだけにしてもらいます。
納期を変える手もあります。または、段階的に開発を進める手もあります。
予算や要員がネックのときは、その条件を変えます。
プロジェクトの関係者と調整し、実現可能な計画を立てられるまで、変えなければなりません。
直属上司が問題ならば、周りを巻き込んで変えます。上司に逆らうとか、従うとかという問題ではありません。
どうしてもダメならば、プロジェクトの中止を進言することも必要です。
責任の明確化
実現可能な条件への変更もできず、プロジェクトの中止もできなければ、そのまま玉砕することになります。
職場の異動や退職などで、その前に逃げられればいいですが、思うようになるとは限りません。
こんなときにプロジェクト管理者にできることは、完了不可能なプロジェクトを開始した責任を明確にするぐらいです。しかし、プロジェクトが玉砕したときに言い出しても手遅れです。プロジェクト失敗の言い訳と取られるだけです。
プロジェクト開始前、計画段階で無謀なプロジェクトであることを明確にしなければなりません。つまり、条件を変えなければ、完了困難なプロジェクトであることを関係者で共有しなければなりません。
そのときに必ず出てくるのが、リスクを過大視しているという意見です。あなたをプロジェクトマネージャーから外そうとするかもしれません。
それならば幸いです。あなたは無謀なプロジェクトでデス・マーチに参加せずに済みます。
まとめ
無理と思われる仕事を強要されたならば、本当に無理かどうかを検証することです。直属上司が話の分からない人であるならば、もっと周りを巻き込まなければなりません。
それでも仕事を進めるならば、なぜ無理なのかを説明しながら、仕事の条件を変えることです。場合によっては、仕事の中止を進言することも必要です。
それでも仕事を進めざるを得ないこともありますが、はじめから無謀な仕事と分かっている場合と、やみくもに突き進んで玉砕した場合では、残るものも違います。