残業禁止がパワハラとなると聞いて、どんな状況を思い浮かべますか?
「残業禁止=パワハラ」の例
残業禁止にして、サービス残業を強いるという状況があります。これは違法行為です。
生産性の低い従業員に「この仕事は時間内でできるはずだ」と罵詈雑言を浴びせ、残業させない状況も考えられます。
プログラミングなどは、人により数十倍あるいは無限の生産性の差が出ます。スキルの高いプログラマが1日で作るプログラムを、スキルの低いプログラマが作ると1ヶ月以上かかかることは十分考えられます。
その場合、スキルの高いプログラマが1日で作ったプログラムの方が、できが良いのが普通です。スキルの低いプログラマがいくら時間をかけても完成できなければ、生産性は無限の差となります。
日経ビジネスオンラインの『どうして残業禁止が“新型パワハラ”なのか?』には、別のパターンが出ています。
「合理性のない過小な要求をし続けることもハラスメントの範疇だそうです。職権を乱用し、部下の意欲をそいでいるわけですから。過剰なノルマを与え、激しいプレッシャーを与え続けるだけがハラスメントではないのです」
出典:日経ビジネスオンライン
簡単な仕事ばかりをさせられ、仕事がつまらなく、将来の展望もなければ、仕事を変えるため会社を辞めたくなります。そういう状態をパワハラと言っているのでしょうか?
どうも違うようです。「仕事があるのに無理やり退社させ、精神的に追い詰めている」と書かれています。しかし、普通は仕事がなくなることはないと思います。
残業することがクセになっている状況では、残業を減らすために、締め切りが今日でなければ、仕事を切り上げ退社させることもあり得る話です。
「ここへ来て、若手で調子を崩したものが2人ほど出てきました。彼ら彼女らはとてもやる気があり、真面目です。ところが、あれこれ上司に訴えても『頑張るな』『無理するな』と取り合ってもらえないので、精神的に参ってしまったようです」
出典:日経ビジネスオンライン
前向きな提案を上司に訴えても「頑張るな」「無理するな」と取り合ってもらえないということです。これは残業禁止とは関係ありません。残業が発生せざるを得ない提案であれば、残業をしないですむ方法を検討させることになります。
「頑張るな」「無理するな」という表現が不適切ということはあります。
日経ビジネスオンラインの残業禁止がパワハラとなる例は、あまり適切ではありません。
長時間残業は経営者の責任
長時間残業は経営者の責任です。
残業をなくし、有給休暇を取らせるためには、それを前提とした事業計画を立てなければなりません。従業員ひとりあたりの1ヶ月の労働時間を140時間ぐらいとして、計画を立てることが必要です。
その上で、中間管理職の評価項目に、部下の残業時間や有給休暇の取得率を入れれば、残業は減り、有給休暇取得も増えます。部下の残業が多かったり、有給休暇の取得率が低かったりする中間管理職は評価を低くします。
これをやらずにワークライフ・バランスなどと言っても机上の空論です。
残業が減って収入が減ることに懸念を覚える社員のために、給与を上げることも必要です。
仕事が好きで残業する
それでも仕事が好きで残業する人がいます。会社が残業を禁止しても、自ら進んでサービス残業します。
昔から、夕方になるとタイムカードを押し、「これからは趣味の時間だ」と言いながら、サービス残業をする人がいました。
会社に来ずに自宅で仕事をして、すごいソフトウェアを完成させる人もいました。
こういう人に対しては、会社の設備を使わずに勤務時間外に作成したものは、会社の仕事で身につけたスキルやノウハウを使っていても、本人のものとするぐらいの度量が必要です。
まとめ
残業禁止はパワハラにはなりません。最初にあげた例は、残業禁止とは関係ありません。
長時間残業は経営者の責任です。
仕事が好きで残業する人に対しては、自由時間に好きなことをさせることです。昔に比べれば、その環境はずっと整っています。
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