長時間残業は従業員の健康をむしばみ、生産性を低下させます。それにも関わらず、長時間残業をするのは理由があります。
以前、『長時間残業がなくならない理由』と『長時間残業を減らす方法』という記事を書いています。
長時間残業がなくならない理由をまとめると次のとおりです。
- 人が少ない
- 納期が短い
- 仕事が遅い
- 残業が多い方が評価される
- 残業代稼ぎ
- 仕事がおもしろい
- まわりが残業しているから
- 家に帰りたくない
長時間残業は経営者の責任です。部下の残業時間が少ない管理者を高く評価することにより、長時間残業は減らせます。売上や利益よりも、部下の残業時間を優先して評価します。もちろんサービス残業を許してはなりません。
それを裏付ける記事が日経ビジネスオンラインに出ていました。残業時間を激減させると同時に増収増益を続けているそうです。
ここで面白いのは「減った残業代は社員に返す」というところです。
だからウチは、50時間の残業を20時間に短縮できたら、30時間の残業代は全部翌年のボーナスで戻すと言った。だから、収入、経済上の心配は一切するなと。
長時間残業の理由のひとつに「残業代稼ぎ」があります。残業代を前提に家計を計画しているために、残業代がないと困る人です。そういう人に対して、減らした残業代をボーナスで返す制度は有効です。
この制度は実質的に、働いた時間にかかわりなく定額を受け取ることになり、悪名高いホワイトカラー・エグゼンプションと似ています。
ホワイトカラー・エグゼンプションは、「短い時間で成果をあげる効率的な働き方を促し、企業の生産性を高めるため」という建前であり、働く時間は自己管理だというところにごまかしがあります。
働く時間を自分でコントロールできる人だけが対象になるとは限りません。裁量労働制と同じように人件費の抑制を目的に導入されるものです。
それに対し、日経ビジネスオンラインの記事では、残業時間削減が目的であり、その障害になりそうな残業代減少に対応するため、減らした残業分はボーナスで払うとしたものです。
仕事の量そのものが減らなくては残業を減らすことはできません。業務に必要な要員をきちんと用意し、適切な納期にしなければなりません。仕事の遅い人には、能力に合わせた仕事を割り当てなければなりません。これらは管理者の仕事です。
これらができてはじめて、長時間残業の削減は可能になります。