米Microsoftは、9型未満のディスプレイを搭載したWindowsスマートフォンとタブレットに対して、OSを無償化すると発表しました。
メーカー向けの話ですが、9型未満のWindowsスマートフォンやタブレットの値下げが予想されます。
OS無償化のねらい
OS無償化のねらいは、Windowsスマートフォンとタブレットのシェア拡大です。どちらもWindowsのシェアは高くありません。
AndroidとiOSが大きなシェアを占めています。Androidは無償です。iOSはAppleがiPhoneとiPadで、自社内だけで使用しているOSですから価格に大きな意味はありません。
ここにWindowsのOSを無償化して、シェアの拡大をねらう魂胆です。
OS無償化の効果
このOSの無償化には何の効果も期待できません。
スマートフォンやタブレットの主な使用目的はゲームと情報の閲覧です。どちらの分野もWindowsアプリはAndroidやiOSと比較して大きく出遅れています。
Windowsの強みは、パソコンとの互換性です。Windows8.1のパソコンとタブレットは、一部を除けば同じソフトウェアが動きます。
Windowsタブレットだけであれば、パソコンよりも軽く、安くなります。パソコンの代わりに持ち歩いて、パソコン用のデータを見ようとする人がいるかもしれません。
しかし、9インチ未満のディスプレイで、パソコン用のデータを見ようとする人がどれだけいるか疑問です。
さらに、キーボードからデータを入力しようとすると、パソコンに軍配があがります。タブレット用のキーボードもありますが、合わせると最も軽いパソコンよりも重くなってしまいます。
Microsoftに望むこと
Microsoftがスマートフォンやタブレットのシェアを増やそうと、Windows8をタブレット向きに変更したのは本末転倒でした。
Microsoftの最大の強みは、これまでのWindows用ソフトウェア資産にあります。パソコン用OSとして、Windows XPとの互換性を最優先に考えるべきでした。
タブレットOSは、そのサブセットで十分です。Windows8の開発で大きく方針を間違えてしまいました。
Windows8.1のアップデートがアナウンスされていますが、Windows XPの完全上位互換とはならないと思います。
Windows XPのサポート終了に伴って、Windowsから離れていくユーザーもたくさんいます。
これからのMicrosoftに望むことは、パソコンOSのデファクトスタンダードとして、Windowsについては完全上位互換のOSをサポートしていくことと、Windowsをより信頼性、安全性の高いものにしていくことです。
そのうえで、AndroidやiOSに対抗するスマートフォンやタブレット用のOSを開発してもらいたいものです。