この4月から、小学校1・2年生用の教材に「二宮金次郎」が取り上げられているそうです。ストーリーは単純です。
幼くして両親と死別した金次郎は、おじの家に引き取られた。読書好きの金次郎は夜遅くまで読書をしていたところ、菜種油を無駄遣いするなとおじに怒られた。そこで金次郎は自分で畑を耕して菜種を収穫して読書を続けて立派な人になった。
私はこの話は知りませんでした。私が知っていたのは、「焚き木を背負って運びながら読書する」銅像が、戦前の全国の学校に建てられていたという話ぐらいです。
虐待、児童労働か?
この話に対して、虐待被害とか、児童労働だという説がありました。
道徳教材に「二宮金次郎」、何が問題なのか? | 冷泉彰彦 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
でも、二宮金次郎が虐待されていたということは、書かれていません。
「菜種油を無駄遣いするな」と怒られたという話です。おじの家が貧しければありそうな話です。これは、虐待とは言えません。
「自分で畑を耕して菜種を収穫」したとありますが、労働を強制されたわけではありません。
読書好きの子供は今でもいます。暇さえあれば本を読んでいます。
そんな子供が本を読みたくて、暗くなっても本が読めるように、菜種を植えて育てたならば子供が遊びの一環としてやったことです。
もうひとつの疑問
この話には、本をどこから手に入れたかという疑問も生じます。
両親が持っていたものをおじの家に持ってきたと考えられます。あるいは、おじが持っていたのかもしれません。金次郎が読書好きなことを知った人が貸してくれたのかもしれません。
いろいろ考えられますが、少なくともおじは金次郎が本を読むことを許していたに違いありません。
おじが金次郎を虐待し、児童労働を強いていたと考えるのは無理があります。
実際には、二宮金次郎の子供時代の話は記録がきちんと残っているわけではなく、作り話である可能性もあります。
この短い話から、小学生がいろいろなことを考えられるなら、考える材料を提供するという意味で、悪くないのではないでしょうか。