安倍首相の鶴の一声ではじまった携帯料金の引き下げが大詰めを迎えています。民間会社の価格設定に政府が介入することで何が起きるでしょうか?
端末値引き規制
総務省の有識者会議が素案をまとめました。方向性は次のようなものです。
- スマホの実質ゼロ円の禁止
- 通信容量を絞った5000円以下の料金プランの導入
スマホを買いやすくするために、スマホを値引きし、通信料金を高めに設定してきたことをやめさせようとしています。
さらにデータ通信をあまり使わない人のために、安い料金プランの設定を求めています。
安く最新のスマホを利用するために、機種を変更するたびに通信会社を変えるという手段も使えなくなりそうです。
スマホの成熟化
スマホもだいぶ成熟化してきました。iPhone 6と6sでは、タッチスクリーンが利用者の押す力を見分ける「3D Touch」ぐらいしか、変わるところがありません。Androidの新機種では、何が新しいのかもよくわかりません。
古いスマホでは、新しいOSにすると速度が遅くなりますが、最近のスマホでは、そういうことも少なくなりました。
新機種が実質ゼロ円とならなければ、スマホを買い替える人も減少します。
Windows Phone
Windows Phoneは、パソコンからタブレット、スマホまでの連続性を売りにしています。同じOSを搭載することにより、同じアプリが使えます。
Windows Phoneにディスプレイとキーボードを接続すれば、パソコンと同じソフトが動くので、同じ使い方ができます。
Windows Phoneを実質ゼロ円で売れれば、iPhoneやAndroidの牙城を崩すかもしれません。
しかし、その機会はなくなりそうです。
MVNO
今までも、通信料金を安くしたい人は、MVNOを使っていました。
しかし、自分では何もできなくて、窓口に何でも頼る人は使えません。MVNOを使えるのは、ある程度スキルの高い人に限られます。
この傾向はこれからも変わることはありません。
結論
通信料金への政府の介入は、スマホの新機種の販売減少として現れそうです。
Windows Phoneは、実質ゼロ円で売ることができそうにありません。
スマホを持っているけれど、データ通信をあまりやらない人は、安い料金プランを使えるようになります。しかし、そういう人はスキルも高くなく、スマホもあまり使わない人です。
政府の介入は、スマホのライトユーザーの通信料負担を下げるために、イノベーターやアーリーアダプターの新しい試みにブレーキをかけることになります。