アイデアを出すときと、アイデアの中から採用するものを選択するときでは、思考の方法が異なります。そこを理解していないと混乱が生じがちです。
アイデアを出すとき
ブレーンストーミングなどで、新しいアイデアを出すときには、否定しないことが大切です。
どんなに突拍子もないアイデアでも、現実離れしたアイデアでも、否定してはなりません。非現実的なアイデアが、次のアイデアを生み出しきっかけになります。
アイデアを出すときに否定的な意見を言うことは、アイデアを委縮させることにもなります。
選択するとき
案がいくつかあり、その中から最適なものを選ぶ場合には、すべての案の長所と短所を洗い出します。
すべての案の長所と短所を考慮したうえで、選ぶことが望ましいことです。
もちろん、ひとつに絞り込む必要がなく、複数の案を採用できることもあります。新たな折衷案が見つかることもあります。そのような場合でも、各案の長所と短所を洗い出すことは必要です。
選択すべきときに、長所ばかりについて話をしていては、妥当な選択はできません。否定的な意見で傷つく人がいたとしても、長所と短所を出しつくすことが、良い選択につながります。
区別のつけ方
アイデアを出すときには否定しません。選択するときには、肯定的な面も否定的な面も出したうえで選択します。これが基本です。
この区別がついていないと混乱します。
この区別をきちんとつけるためには、場を分けることが効果的です。
アイデアを出す場では、アイデア出しだけを行います。この場では、否定的な意見は厳禁です。
選択をする場では、長所と短所を出し合い議論します。遠慮して、否定的意見や批判的な意見を避けていては良い議論になりません。
あえて、否定的な意見だけを述べる役割を割り振ることも有効です。いわゆる「6色の帽子」の思考スタイルです。
「6色の帽子」とはエドワード・デボノ博士の提唱した思考方法です。6色の帽子を用意し、それぞれの色の帽子をかぶった人は次の思考方法をとります。
- ホワイト:事実を重視
- グリーン:創造性を重視
- イエロー:和を重視
- ブラック:問題点を重視
- レッド :感情を重視
- ブルー :プロセスを重視
アイデアを出す場では、全員がグリーンの帽子をかぶります。
選択をする場では、それぞれの色の帽子を全員に割り振り、一定の時間ごとに帽子を交換します。
このような方法で、多面的な議論をすることができます。
おわりに
他人を傷つけることを恐れるためか、議論することを避けようとする人がいます。
しかし、議論することなく、複数の案の中から妥当な選択をすることはできません。
アイデア出しする場と選択する場を分けることは効果的です。
選択するときには、議論を活発にするために、思考方法を割り当てることも効果があります。