バブルの時代には、マスコミが情報を選択し流行を作っていたのに対し、SNSが発展しつつある現在では、無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有する「キュレーション」により、情報収集のパラダイム転換が起こっています。
そのときに注意しなければならないのは、情報のタコツボ化です。RSSやTwitterで流れてくる大量の情報から、情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、共有しても、RSSの登録もTwitterのフォローやリスト化も固定されたままでは、情報のタコツボ化が発生します。「ソーシャルメディアは仲の良い同士がつながってしまうから、タコツボ化する」という批判が当てはまる状態になります。
大量の情報の中にはノイズが含まれ、それが「ゆらぎ」となり、価値あるものを見つける能力であるセレンディピティを刺激するため、情報のタコツボ化には陥らないという主張は理解できますが、それだけでは不十分です。
戦争が始まろうが、大災害が起ころうが身の回りのことにしか興味を示さず、自分の好きなことだけを続けている人は昔からいます。これは、マスコミが情報を操作し、選択した情報しか流さない時代でも、キュレーションの時代でも変わりません。情報のタコツボ化に陥らないためには、個人の努力が必要です。江戸時代の鎖国中の日本でさえ、長崎を通じて外国の情報を入手していた人たちがいました。
そこで、情報のタコツボ化に陥らないための心構えについて考えました。
1.反対意見の根拠を理解する
原発問題やTPPなど議論の元はたくさんありますが、その際に大事なのは、それぞれの立場の論拠をきちんと理解することです。自分の意見や感覚に合わないものを頭から拒否することなく、些細な事実認識の誤りや言葉尻をとらえた非難にばかりとらわれずに、本質を理解して、判断することが大事です。
2.興味のない情報も目を通す
自分の興味のないことでも、全面的に避けることなく、時々は目を通し、どんなことが起きているか知っておいたほうがいいと思います。
3.情報の入手先を常に開拓する
新しい情報の入手先を常に開拓します。その代わり、役に立たなくなった情報源は捨てます。情報源の選択が大切です。
自分の専門や好きなことに関する深い知識を追求するだけでなく、広く浅い知識も必要です。T字型の知識ということもあります。さらに、専門分野のまわりの知識はそれなりに深くなるのでV字型といったり、複数の専門分野を持つことが望ましいということからπ字型ということもあります。
この記事は、次の本を読んで考えました。