米国企業の多くは利益重視であるのに、日本企業の多くは売上重視です。日本では正社員を簡単にはクビにできないから、従業員を雇うための仕事が必要で、利益率が低くても売上が上がっている部門を切る必要がなく、株主利益に貢献できていないと考えられています。
そんな日本企業に追い風となる記事が、日経ビジネス2012年1月23日号に掲載されました。特集「利益より売り上げ」です。日経500種平均株価構成銘柄のうち金融を除く458社を対象に、2001年度から2010年度までの各年度における増収と減収、増益と減益の回数をカウントし、(2006~10年度の営業利益の5期合計)÷(2001~05年度の営業利益の5期合計)の割合を比較すると、増収のカウントが増益のカウントより大きい企業の方が、増益のカウントが増収のカウントより大きい企業より、多くの営業利益を上げているというものです。つまり、「売り上げを増やしている(増収の回数が多い)企業の方が、増益の回数が多い企業よりも、長期的には多くの利益を得られる」というわけです。
日経ビジネスではこのデータを元に「売り上げが利益を作る」「縮小均衡のワナから脱する時」とうたっています。
私は、この記事を読んだとき、そのまま素直に受け止められませんでした。そこで気づいたのが、2008年にリーマンショックがあったことです。「増収重視型」の企業の方が、リーマンショックの影響が少なかったことを示しているだけではないのかとも思えます。日本の特定の10年のデータだけではなく、世界各国の様々な年代での調査結果が必要であると思いました。つまり、結論を断言するにはデータが偏っているのではないかということです。私が、この方面にもう少し興味があれば、自分で世界各国の様々な年代のデータを収集して調査をしますが、今回は、データの普遍性に疑問を持つだけにとどめておきます。