マルチメディアは現代人から想像力を奪ったのでしょうか?

 本を読むときは、活字から情景を想像します。ラジオでは、声の調子や効果音、バックグラウンドミュージックなどが加わり、臨場感が少し増します。テレビや映画では、映像が加わり、さらに臨場感が増します。特に、映像技術の進歩による思いもよらない映像や、小型カメラによる特別な視点からの映像には驚かされます。

 テクノロジーの進歩により、人間の想像力が衰えてきたという説があります。確かに、映画やテレビは、本よりも自分で想像できる範囲は狭まっています。しかし、人は映画やテレビばかりをみているわけではありません。想像力は他の場でいくらでも発揮できます。

 本で読んだ小説が映画化され、自分の描いていたイメージと異なることはあります。これは、映画監督と自分とで小説の捉え方が異なっているだけです。想像力が衰えているわけではありません。

 しかし、仮に、眠っている時以外はいつもテレビを見ているという人がいたとすると、その人の想像力が豊かかと問われると疑問です。テレビを見る行為は、基本的に受動的ですから、テレビばかりを見ている人は、能動的な活動をしなくなります。当然、想像力も衰えてきます。

 テクノロジーの進歩は、テレビをつけっぱなしにして見ている受動的な人を増やしたことは事実です。そういう人はテレビがなくても、金があれば、芝居小屋や女郎屋に通い、自堕落で受動的な生活を送ったともいえます。それでも、通うという行為は、能動的ですから、ボタンを押すだけでよいテレビばかりを見ている人よりは、能動的だといえます。

 現代人の想像力が貧困だとしたら、原因はテレビです。よく似たものにビデオゲームがあります。テレビよりは、少し能動的な面がありますが、人工的な世界にどっぷりとはまり、現実世界ではまったく役に立たない技術を磨いたりしていると、極めて危険な状態になります。

 テレビとビデオゲームは、のめり込むと人生を台無しにする可能性のあるテクノロジーのあだ花といえます。テクノロジーの進歩が人をスポイルするのではなく、それが生んだテレビやビデオゲームがその危険性をはらんでいるということです。

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