『人間関係をしなやかにする たったひとつのルール』は、選択理論の日本初の入門書です。選択理論とは、米国の精神科医ウイリアム・グラッサー博士が発表した心理学の理論です。ここでは、その概要を紹介します。
1.全行動
行動には4つの要素があります。「行為」「思考」「感情」「生理反応」です。このうち、「行為」と「思考」は、自分の意志で直接コントロールできます。「感情」と「生理反応」は、直接コントロールすることが困難です。「行為」と「思考」を使って間接的にしかコントロールできません。
人間関係を良好に保つコツは、コントロールできる自分の「行為」と「思考」に集中することです。他人をコントロールしようとすると人間関係を破壊することもあります。
問題が発生したときには、相手を受け入れて交渉するように、自分の「行為」や「思考」をコントロールします。その結果、良好な人間関係を築くことができます。
2.基本的欲求
基本的欲求とは、「私たちがうまれてから死ぬまでにとり続ける行動のすべてを動機づけるもの」であり、「愛・所属の欲求」「力・価値の欲求」「自由の欲求」「楽しみの欲求」「生存の欲求」があります。
この5つの欲求の強弱は、遺伝的に決まっています。これにより、得意なことと苦手なことも決まってきます。
3.上質世界
上質世界とは、自分の基本的欲求を満たしてくれる「気分の良いもの」を蓄えた概念上の場所です。上質世界は、基本的欲求の5つの要素の強弱と経験によりつくられる願望のようなものです。
上質世界は個人ごとに異なります。私達は、上質世界にあるものを得ようと努力をし、上質世界と関係ないものには関心を払いません。
上質世界にある願望から、今の自分に必要なものを選び出し、優先順位をつけることが、自分の人生を決定する選択となります。
まとめ
コントロールできることとできないことを理解し、コントロールできる自分の「行為」と「思考」に集中します。基本的欲求の5つの要素の強弱は、遺伝的に決まっており、得意なこと苦手なことも決まっています。
相手をコントロールしようとせず、相手の欲求充足のじゃまもせずに、自分の欲求も満たさなければなりません。そのためには、上質世界の願望を見直し、優先順位をつけ、自分の「行為」や「思考」をコントロールすることです。