Facebookの利用履歴を分析すると未公開の個人属性も判明するとした記事が、日経ビジネス2013年3月25日号に載っています。「SNSのプライバシー保護への懸念が高まる中、検討が必要だ」としていますが、記事を良く読むと、単にFacebookの使い方と個人の属性の間に相関が見つかると言っているに過ぎません。
Facebookのタイムラインを見ると、だいたいどのような人かわかります。顔写真を登録し、好きな音楽や映画、本なども公開していると、性格なども予想がつく場合もあります。
Facebookの登録情報と投稿を分析すれば、その人の嗜好やタイプをある程度の確率で当てることは、驚くに値しません。しかし、ある程度の確率で当てることはできても、その人の個人情報がわかったことにはなりません。
予想もしない相関関係も見つかったそうです。ジャガイモをらせん状に切って揚げたカーリーフライに「いいね!」を押した人は、IQが高いそうです。これだけで、眉唾ものの情報であることがわかります。IQなど人は滅多に調べません。おそらく、カーリーフライに「いいね!」を押した人の中に、有名大学の卒業生が多いという程度のことでこのように書いているのだと思います。
Facebook上の情報を分析すれば、思いがけない相関関係が見つかるかもしれません。それは、マーケティングに役に立つかもしれません。しかし、それはFacebookのプライバシー保護とは無関係のことです。
統計的に発見された個人の属性に関する相関関係は、プライバシー情報ではありません。いままで気のつかなかった一般的な人の性質です。
Facebookのプライバシー保護で気をつけなければならないことは、Facebookに不用意に知られたくない個人情報を登録することや、他人の個人情報を無断で投稿することです。
仮に年齢を知られたくない人がいたとします。Facebookから年齢が知られてしまうことを避けるには、生まれた年を登録しないだけではなく、学生時代の同級生と同じ学年であったことなども隠さなければいけません。年齢が推測できる話題も避けなければいけません。
しかし、これは実生活でも同じです。Facebookがインターネットの力により、距離や時間の制約を小さくしているために、より隠しておきたい情報がもれやすくなっているということです。
年齢を知られたくないならば、Facebookは使わない方が良いということになります。いつ学生時代の同級生があなたを見つけて、学生時代の話をするかわからないからです。ただし、これはFacebookが情報をもらすのではなく、Facebookという道具が、学生時代の同級生が年齢をもらしてしまうリスクを高めるということです。