統計学の威力がわかる!『統計学が最強の学問である』

統計学が最強の学問である

 統計学は、よくわからないものに対して相関関係を見つけ出し、妥当な判断を行うためのツールとして、最強の学問です。経験や勘に頼ることなく、必要なデータさえあれば、妥当な判断を下せます。

 本書では、サンプリングが情報コストを激減させることや、2つのものの差が誤差によるものか否かを判断するカイ二乗検定など専門的ではありますが、統計学の威力を示す基礎をわかりやすく説明しています。

 ランダム化から重回帰分析までの話は、大学で統計学を学んだ人には、良い復習となります。統計学を学んでいない人でも、なんとかついて行けると思います。

 後半に、非常に興味深い話があります。科学的推論には、帰納と演繹があります。帰納とは個別の事例から一般的な法則を導く方法、演繹とは仮定に基づいて論理的推論により結論を導く方法です。

 統計学の目的は、帰納的推論です。個別の事例であるデータから回帰モデル等の一般的な法則を導き出します。

 逆に演繹の代表的な例は、ニュートン力学です。慣性の法則、運動方程式、作用・反作用の法則という3つの法則から、リンゴから太陽系の惑星まで、世の中のほとんどのものの挙動を説明します。

 ここで大事なことは、3つの力学の法則の真偽は判断できないということです。力学の法則を仮定することにより、世の中のほとんどのものの挙動を説明できるというだけです。

 アインシュタインの相対性理論やハイゼンベルクの不確定性原理は、ニュートン力学に従わない素粒子等の挙動を説明する理論です。

 マルクス経済学は、唯物史観から演繹して人類の歴史や社会を説明しようという試みです。仮に人類の歴史や社会をうまく説明できたとしても、唯物史観の真偽は判断できないところは同じです。うまく説明できない事象が存在することは、唯物史観という仮定が全面的に正しいわけではないことを示しています。

 計量経済学は、回帰分析の結果から演繹を行う学問です。回帰分析の結果は個別の事例であるデータから帰納的に導かれたものであり、単なる仮定ではありません。ここが、マルクス経済学と計量経済学の妥当性を判断する重要なポイントとなります。

 帰納と演繹という推論方式が、個別の学問でどのように使われているか、学問そのものの妥当性にも関係して興味深く読みました。

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