健康や経済については、世の中にさまざまな説があり、どれを信じて良いかわからない状態です。
健康でいえば、朝食は食べるべきだという説もあれば、朝食は食べない方が良いという説もあります。経済では、現在の日本において金融緩和によりデフレを脱却して景気がよくなるという説とハイパーインフレが起きるという説があります。
ここでは、ちまたにあふれる説の内、どの説が正しいか見分ける方法を紹介します。
1.専門家の意見
一人の専門家の意見は、あくまでもその人の意見に過ぎません。その人独自の環境で妥当であっても、他の環境にもあてはまるかわかりません。
その人には、さまざまな利害関係があり、その利害関係が意見に影響を与えていないか、他の人が判断することは困難です。
一人の専門家の意見をそのまま信じるわけにはいきません。
2.基礎実験の結果
基礎実験とは、試験管の中で行った生化学的な実験やネズミなどを使った動物実験のことです。基礎実験の結果から、ただちに健康に良いというようなことはいえません。
食物であれば、胃や腸で消化、吸収された後、肝臓や腎臓で代謝されます。試験管の中や他の動物で起きたことが人間の体の中で起きるとは限りません。
3.観察研究
喫煙と肺がんの関係に関する観察研究などです。性別・年代・社会階層・居住地域などと肺がんとの関係を分析した研究が世界各地にあります。その中で示された喫煙と肺がんの関係となると信頼性が増します。
難点は、喫煙と肺がん以外の条件が同じである調査というものが、できないことです。
4.ランダム化比較実験
肥料Aと肥料Bと小麦の収穫量の関係を分析しようとするときに、農地を細かい単位に分割し、ランダムに肥料をまき分け、肥料Aをまいた土地と肥料Bをまいた土地を比較するような方法です。
この方法を複数の人が実施し、再現性があれば信頼度はかなりあがります。この方法の難点は、人間で行う場合、全国民や全人類のランダムサンプリングができないことです。
5.系統的レビュー/メタアナリシス
系統的レビューとは、対象となる分野の論文の条件を決め、統計解析が行われた論文をすべて収集・分析し、その結果をまとめることです。メタアナリシスとは、複数の論文の統計解析の結果をさらに解析してまとめ上げることです。
このようにして得られた結果は、誰の主観も入らず、現時点での最善の結果だといえます。
まとめ
再現性のある学術論文以外は、信じるに値しません。学術論文を系統的レビューでまとめ上げたものが、現時点で最も信頼できる内容となります。
この方法は、次の本からまとめました。