何をすべきなのか頭でわかっていても、なかなか実行できないことってないですか?
ビジネス書やセミナー、研修などで知識を吸収しても、実際の行動につながらないことがあります。知識と行動にはギャップが存在します。
本当に実行できる知識は、本を読んだり、人に聞いたりしただけでは身につかず、行動から学ばなければならないという説もあります。
わかっていても実行できない理由は何でしょうか?
一歩が踏み出せない
実行できない理由のひとつは、なかなか最初の一歩が踏み出せないからです。はずみ車を回すとき、最初に回し始めるときは力が必要です。一度回り始めると、回し続けるのに大した力はいりません。
頭で理解している段階と、実際に行動する段階には大きなギャップがあります。そのギャップは、いつも飛び越えている人にはたいしたことのないギャップですが、飛び越えたことのない人には、想像以上に大きなギャップです。
飛び越えたことのない人は、その気になればいつでも飛び越えられると思っています。ところが、いつまでたっても、何を学んでも、飛び越えようとしません。あなたの周りにもいませんか。いわゆるノウハウコレクターと言われる人です。
これを避けるためには、ベイビーステップという手法が良く知られています。赤ん坊がはいはいするように、小さなことでいいから、すぐにやってみるという手法です。
暗黙知
社内の知識やノウハウを共有するナレッジデータベースを整備している会社も増えてきました。しかし、この方法は、形式的で集まりやすい知識ばかり集まる傾向があります。
非公式で言葉にしにくいものは集まってきません。知識を持っている人が、経験のない人でも実行できるように、本当に必要な情報を表現するのは困難なことです。
多くの人はそれを言葉で表現できません。自分でやって見せるしかありません。そういうものは、ナレッジデータベースに収まりません。そのような知識は、しばしば暗黙知と表現されます。
この言葉で表現がむずかしい暗黙知があるために、座学で知識を学んだ人が、いざ実行しようとしたときに、実行できないことがあります。
言葉で表現されていないものは、実行しているところを目で見て確認するしかありません。昔から職人の世界では、技術を盗めと言われています。親方が言葉で表現できないため、弟子は見よう見まねで身につけるしかないわけです。
一般的に暗黙知だと言われていることでも、言葉で表現できないとは限りません。それまで誰も言葉で表現していなかっただけの可能性もあります。それを言葉で説明して広めれば、わかりやすい解説書となります。
おわりに
どんな知識でも、頭で理解している段階と自分で実行できる段階には雲泥の差があります。実行して見なければわからないことはたくさんあります。決して頭で理解しただけで満足してはいけません。
私の専門とするITの世界でも、プログラミングの経験なくして、ITを語る人がいます。しかし、プログラミングの経験がなくては、ITが本当に分かっているとは言えないと思います。
起業も同じです。うまくいくと思われる起業が、思いもよらないことでうまくいかないことは珍しくありません。逆に、誰もがうまくいくはずがないと考える起業が、案外安定軌道に乗ることもあります。