Kindle出版のためにGoogleドライブとsigilの両方で電子書籍データを作りました。そこで、この2つを比較します。
1.出力ファイル形式
Googleドライブでは、HTMLファイルをzip形式で圧縮した形で出力できます。sigilではePub形式になります。どちらもKDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)に直接アップロードできます。
Googleドライブから出力されるHTMLファイルは、人が読めるものではありません。sigilのePub形式の中身はHTMLですが、sigilでビューモードをコードビューに切り替えることにより、直接見ることも修正することもできます。
そのためsigilでは、縦書の指定や見出しの装飾の指定などが、直接HTMLを修正することにより比較的容易にできます。Googleドライブでは、HTMLを直接修正することは実質的に不可能であり、Googleドライブ側で出力するHTMLの形式に、KDP側が対応してはじめてその機能が使えるようになります。
さらに、ePub形式はepubcheckというチェックツールで検査が可能です。epubcheckでは、出版後にわかる不具合もチェックできます。
私がはじめてKindle出版を行ったKindle本は、Kindle PaperwhiteやAndroidのKindleアプリでは正常にダウンロードして読めましたが、iPhoneでは次のエラーが出てダウンロードできませんでした。
http://www.amazon.com/kindlesoftwareupdatesで新しいソフトウェアをチェックし、デバイスをアップグレードしてください。
はじめは原因がさっぱりわかりませんでしたが、Kindle出版を経験されている方から、リンクやファイル名に日本語を使っていると、iOSのKindleアプリで読めなかったと聞きました。
これは心当たりがあったので、sigilでePub形式で作成したファイルをepubcheckでチェックしたところ、画像ファイルに日本語のファイル名を使っている部分がすべてエラーとして検出されました。
ePub形式で作成しておくと、epubcheckでのチェックが可能になることが、大きなメリットとしてあります。
2.動作環境
Googleドライブもsigilも、どちらもWindowsでもMacでも使えます。違いとして大きいのは、Googleドライブは常にインターネットに接続したオンラインの環境でしか動かないのに対し、sigilはオフラインの環境で動くところです。
インターネットに接続できない環境でも電子書籍ファイルの作成ができるという意味では、sigilに軍配があがります。
3.使い勝手
私は、エディタでテキストデータを作成してから、Googleドライブやsigilにデータを貼り付けました。この方法をとる限りは、どちらも使い勝手に大きな差はありません。
最初から、Googleドライブかsigilを使って文章を作っていくことを考えると、Googleドライブはほとんどワープロソフトと同じ使い勝手です。それに対し、sigilは改頁をすると別ファイルになるというところに違和感があります。ページをまたがって文を移動する場合などは、その文をコピーし、別のファイルを開いてから、貼り付けるという作業になります。
まとめ
Kindle出版のための電子書籍データを作成するという観点では、出力ファイルを直接修正でき、チェックできるということから、sigilのほうが有利です。Googleドライブが有利である点は、使い勝手がワープロソフトに近いという点です。
そのため、文章そのものは、エディタなりワープロソフトで作成し、それをsigilに貼り付けて、最終的なKDPへの提出形式にするという使い方が、現在のところ最も便利なKindle出版用電子書籍データの作成方法になります。
Googleドライブとsigilを使った電子書籍データの作り方については、別の記事に書いています。
Kindle出版のためのGoogleドライブを使った電子書籍データ作成方法
Kindle出版のためのsigilによる電子書籍データ作成方法