新国立競技場の建設に伴ってさまざまな問題が持ち上がっているようです。コンペで決まったと言いながら、建設費1300億円のところが3000億円になり、規模を縮小し約1800億円になったという報道もありましたが、それでも500億円のオーバーです。よくわからないので少し調べてみました。
1.デザイン・コンペであり設計コンペでない
先のコンペはデザイン・コンペで、設計コンペではありません。コンペの勝者はデザインの監修を担います。意見を述べたり、助言をしたり、提案したりはできますが、設計は別の人が行います。
コンペで勝ったデザインに基づいて試算したところ、3000億円になったので見直しているということです。コンペで勝ったデザインは建築費を無視して考えられ、後から変更されます。コンペで決まるのは単なるコンセプト程度のものでしかありません。
建設費を無視してデザインを行うことには、大きな違和感を覚えます。しかし、このようなおかしなコンペは昔から行われているようです。
2.その他の問題
そもそも1300億円という金額も大した根拠なく決められています。日産スタジアムが700億円だったので、屋根を開閉式にした新国立競技場は、倍ちかくの金額にしたということです。
2019年のラグビーワールドカップに間に合わせようとしていますが、ラグビーワールドカップに必要なものかどうか疑問です。駐車場スペースが適切かどうか、新国立競技場に引っかかるビルも建て替えなければならないという問題もあります。
屋根付きにすればコンサートで利用できるとしていますが、屋根付きにするための費用とそれで得られる収益の関係も疑問です。
神宮外苑に巨大な新国立競技場を建設することに対して、都市景観の問題もあります。
まとめ
2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるため急いでいますが、新国立競技場が満たすべき要件も、費用も、まだ決まっていません。基本設計は2014年3月までに行う予定とされていますから、現在どこかで行われているのだと思います。
一般にプロジェクトマネジメントは、目的や制約条件を明確にして、関係者と共有することが成功のための条件です。新国立競技場建設プロジェクトでは、目的や制約条件があいまいなままで、関係者との調整もできていません。プロジェクトとしては、今後大きな問題が噴出してくることが予想されます。