メガネ型や腕時計型のウェアラブルデバイスが開発されていますが、なかなか普及しません。
普及しない理由の一つは、ウェアラブルデバイスでやることに、あまりメリットが見いだせないことです。
ウェアラブルデバイスで何をやるか
メガネ型のウェアラブルデバイスでは、必要な情報を視界に常に表示させておくことができます。音声などにより、指示を与えることもできます。
そのため、両手を使って行う作業では、便利な使い方ができます。手術や料理などです。しかし、それ以上の使い方はまだ考えられていません。
ウェアラブルデバイスにはセンサーの役割もあります。腕時計型のウェアラブルデバイスでは、腕の動きから活動量や睡眠の状態を記録します。
将来的には体の様々な情報を測定し、健康管理に役立てることができます。でも、それぐらいです。
いわゆるキラーアプリがありません。
不気味の谷
もう一つの普及の妨げになっているものに、不気味の谷と言われるものがあります。
不気味の谷とは、ロボット工学で使われた言葉です。ロボットが人間に似てくるとだんだんと親しみを感じるようになります。
しかし、あるところから突然「不気味」だと感じるようになります。さらに人間に似てくると、また親しみを感じるようになります。これが不気味の谷です。
不気味の谷は、人間が化け物と見なすところで起きます。生き物のようではありますが、人間ではなく、危害を加えられるかもしれない見たこともない化け物に見えるところです。
ウェアラブルデバイスでも同じことが起きます。
グーグルグラスをつけた人の入店を断るレストランや、グーグルグラスをつけた人とは一緒に歩きたくない、話をしたくないという人がいます。
ウェアラブルデバイスが不気味の谷を越えるとき
ウェアラブルデバイスがより小型になり、外から見て、つけているかどうかがわからなくなれば、不気味の谷を越えることができます。
コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスがそれにあたります。テレビカメラはボタンやネックレスに組み込むことになります。
こうなると盗撮と変わらなくなります。相手に無断で相手を撮影していることになります。これでは社会的に受け入れられません。
ウェアラブルデバイスの可能性
別なウェアラブルデバイスの可能性として、脳内の微細な変化を検知して、外部に働きかけるというものがあります。
また、逆にその情報を受け取り、あたかも神の声を聴いたかのように脳内にイメージを再現することもできるかもしれません。
そうすると、頭の中で考えるだけで相手に言葉やイメージをそのまま伝えることが可能になります。テレパシーの実現です。
同様にして、機械を操作することもできます。頭の中で考えるだけでロボットを自由自在に動かすことができるかもしれません。
ウェアラブルデバイスは、そんなSFのようなことができる可能性を秘めていますが、しばらくは今のような状態が続くような気がします。
ウェアラブルについては、こちらの記事もご覧ください。
佐々木俊尚さんの『ウェアラブルは何を変えるのか?』を読んで考えたこと