解雇を容易にすればソフトウェア産業も発展する

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「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話ですが、日本で解雇が容易になれば、ソフトウェア産業も発展します。

日本でソフトウェア産業が発展しないのは、優秀な理系の学生をITベンダーが抱え込み、ユーザー企業の受託開発に従事させてきたからです。

日本は解雇規制が厳しく正社員を容易に解雇できません。そのため、ユーザー企業はコンピュータシステムの開発を自社の社員で行うわけにはいかなくなりました。

新規システムの開発が目白押しのときは良かったのですが、ひととおりの開発が終了し、普段は既存システムの運用と保守ぐらいになっては、ソフトウェアエンジニアを抱えておけません。

その結果、新規システムの開発を行うときは、ITベンダーに発注するようになります。ITベンダーでは、いくつものユーザー企業の開発を請け負うことにより、ソフトウェアエンジニアを使いまわすことができます。

しかし、開発の波があるため、ITベンダーもすべての開発要員を自社社員でそろえるわけにはいきません。社員は主にプロジェクトマネジメントを行い、プログラミングなどは下請けのベンダーに発注するようになります。こうして、ITゼネコンと言われる1万5000社、56万人もの技術者からなる多重下請け構造が出来上がりました。

ITベンダーに入社した優秀な理系の学生は、主にプロジェクトマネジメントを行うようになりました。システム分析や設計を行うこともありますが、プログラミングを自ら行うことはなく、ソフトウェアエンジニアとしてのスキルは上達しません。

しかもITベンダーの開発するシステムはユーザー企業のシステムです。ユーザー企業の言いなりに開発する受け身の体質になりがちです。米国のように独自のソフトウェアを開発する機会はほとんどありません。

日本で解雇が容易になれば、ユーザー企業は新規システムの開発時に、ソフトウェアエンジニアを雇います。開発が終われば、ソフトウェアエンジニアは、新規システムを開発する他のユーザー企業に行くことになります。米国では、優秀なソフトウェアエンジニアは企業を渡り歩いています。

優秀な理系の学生が、主にプロジェクトマネジメントをやることになり、ソフトウェア開発に携わらないことが、日本のソフトウェア産業が米国に後れを取った一番の原因です。

しかし、いきなり解雇規制を緩和することは、ブラック企業を喜ばせるだけになります。雇用の流動性をいかにして確保していくかは、今後の日本経済の大きな課題です。

竹中平蔵さんが「正社員をなくせばいい」と発言して議論が巻き起こっていますが、会社と個人の契約を雇用契約から業務請負契約なり派遣契約にすれば良いという問題ではありません。雇用の流動性がある社会に、いかにして変えていくかという問題です。

ユーザー企業が、自社の基幹となるソフトウェアを開発することは、これからもあります。そのときに、優秀なソフトウェアエンジニアを採用し、ソフトウェアエンジニアが新規のシステム開発を渡り歩けるようになれば、雇用の流動性が高い社会に近づきます。

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