米国連邦裁判所がAppleに対して、iPhoneのロック解除命令を出しています。
銃乱射事件の犯人のものと思われるiPhoneが押収されましたが、ロックがかかっているため、FBIでも解除できなかったためです。
Appleのティム・クックCEOは、この命令に従うことを拒否し、Appleの意見を公開しています。
この中で、命令に従うことを拒否する理由を次のように述べています。
- FBIはiPhoneの暗号化をかいくぐるバックドアを作れと言っている
- この命令に従うと、政府はiPhoneの暗号を解除するマスターキーを持つことになる
- それは危険なことである
私は、Appleの意見を支持します。
Appleを支持する理由
政府だけが暗号を解除できる危険性
政府が常に正しいことをする保証はありません。
iPhoneは独裁国家でも使われます。現在、独裁国家でない国も、独裁国家となる可能性があります。そのとき社会は、ジョージ・オーウェルの『1984年』のような世界になります。
そのため、暗号を解除できるようにして、政府だけに暗号を解除する方法を伝えることは危険です。
バックドアを作ることの危険性
政府が正しいことをしていたとしても、バックドアの情報が漏えいする可能性があります。
漏えいしないとしても、誰かが見つけ出す可能性もあります。
バックドアを作ること自身が、セキュリティ上、危険なことです。
FBIのとるべき手段
FBIは自ら可能な範囲で捜査を進めるべきです。
もし、Appleが暗号を解除する方法をわかっているならば、それが犯罪捜査に役立つ範囲で伝えるべきだと思います。
しかし、暗号を解除する方法がなければ、セキュリティは高まります。あえて、暗号を解除する方法を作りこむことは、セキュリティを弱めることになります。
政府は、自分たちだけが見ることができるような仕掛けを強制すべきではありません。
おわりに
Appleは、過去にはiPhoneのロックを解除していたという記事もあります。
Apple Unlocked iPhones for the Feds 70 Times Before – The Daily Beast
iOS7では、解除ができたということです。最新のiOS9では、できなくなっているということです。iOS8ではどうなのかわかりません。
これは、AppleがiPhoneのセキュリティを高めたということで、特に問題とすることではありません。