エストニアについては、バルト三国のひとつで、1991年にソビエト連邦から独立し、国政選挙で電子投票を実施している国ぐらいの知識しかありませんでした。
ところが驚くべきことを考えていました。
国家のデータとサービスを世界中のサーバに分散させることで、政府の存続を担保し、エストニアが領土を占領されたとしても、われわれの国家自体を占領することはできなくなります。つまり、国家が領土や物質という概念から解き放たれるのです。
引用元:小国エストニアが電子政府で世界最先端を突き進むワケ ――ターヴィ・コトカ(エストニア政府CIO)インタビュー|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
エストニアは、次のような歴史を経て独立しています。
13世紀以降、デンマーク、ドイツ騎士団、スウェーデン、ロシア帝国などの支配を経て、第一次大戦後1918年ロシア帝国より独立。第二次大戦中1940年ソビエト連邦が占領、翌1941年独ソ戦でナチス・ドイツが占領、1944年ソビエト連邦が再占領し併合。1991年同連邦より独立を回復
どこの国に領土を占領されても、国家を占領できなくするという発想は、この歴史から生まれています。
領土を占領され、国民が世界中にバラバラになったとしても、国政選挙を行い、国会を開催できます。税金を徴収し、義務教育の実施も可能です。国立大学の設立も可能です。
技術の進歩は、国を電子的な方法で運用することを可能にしていました。
こうなると国とはなんだろうということになります。
領土を占領されると、そこにある歴史的建造物などは破壊される可能性があります。現実にISが行っていることです。
しかし、国民が生き延びてさえいれば、国家を存続させることができます。
また、現時点で領土を持っていなくても、国家を設立することもできるかもしれません。
世界中のサーバに分散させたシステムで、国民になりたい人が賛同すれば、国家としての仕組みを作ることは可能です。
エストニアの試みは、歴史の新しい一ページとなりえます。