日経ビジネス2013年8月12日の特集で、数十年後も人間の手に残る仕事をまとめています。ロボットによる代替が難しい仕事、自動化のニーズがない仕事、機械化社会の維持に必要な仕事、ロボットにはやってほしくない仕事の4つとしています。その内容について考えてみました。
1.ロボットによる代替が難しい仕事
ロボットによる代替が難しい仕事は、人間がやることになります。しかし、ロボットにとって難しいかどうかは技術の進歩に依存します。
ロボットには、経験に裏打ちされた勘がないという意見がありますが、20年以上前に話題になったエキスパートシステムは、この勘を機械化したものです。当時の技術では、ごく一部の分野でしか実用化されず、話題にされることもなくなってしまいましたが、機械学習と現在のハードウェア速度を適用すれば実用化できる範囲も拡がっています。
気温や湿度の変化に合わせ調理や加工時間を調整することも苦手とされていますが、センサーの進歩は、それを可能とします。
規格が非統一の素材やパーツは、機械で扱いにくいものですが、センサーとマニピュレータの進歩により解決可能です。微妙な力加減も同様です。
人間の感情を読むことも可能です。表情や仕草を認識し、心理学的に読み取ることができます。
ロボットによる代替が行われるかは、その時点の技術で、妥当な費用の範囲内で実現可能かどうかで決まり、固定的なものではありません。徐々に機械化が進んでいく分野と考えるべきです。
2.自動化のニーズがない仕事
プロスポーツのような人間同士のぶつかり合いは自動化のニーズはありません。冒険家やグラビアアイドルも同様です。人間でなくては意味がありません。
一方、ロボット同士の競争や人間とロボットの競争にもエンターテインメントとしての需要はあります。ロボットが競技を行うロボコンのような大会も増えていきます。ロボットによる宇宙探検やロボットの美人コンテストなどにも興味を示す人はいます。
3.機械化社会の維持に必要な仕事
機械化社会の維持に必要な仕事がロボットにできないかというと、そのようなことはありません。かなりの部分は機械化されます。自動修復ロボットも夢ではありません。この項目は、「ロボットによる代替が難しい仕事」に含めて考えられます。
4.ロボットにはやってほしくない仕事
人間がロボットにやってほしくないことは、人間を支配することです。企業の経営判断に必要な情報を、機械は提示することができます。それでも、最終判断は人間が下すことになります。それでなければ、部下の人間はついて行きません。
人間を直接扱う医師や看護士についても同様です。機械の支援は受けますが、最終的な判断を下す人間が必要とされます。
まとめ
ロボットによる代替が難しい仕事は、技術の進歩により減っていきます。どんなに技術が進歩しても人間に残る仕事は、「自動化のニーズがない仕事」と「ロボットにやってほしくない仕事」になります。