過去、スポーツのルールが変更され、日本選手に不利になったことがありました。私が覚えているだけでも、水泳平泳ぎで潜水が禁止され、スキー複合ではジャンプと距離の得点の割合が変更されました。柔道もしばしばルールが変更されています。
変更には、それぞれ理由がありますが、それは建前で本音は日本人選手が強すぎるので、欧米各国がルールを変更したのだという話もありました。
そこで思ったことは、逆はあったかということです。日本の競技団体なりが、日本人選手を有利にするために、ルールを変更するということです。
マーケティングの世界では、自分に不利な市場は避け、自分の有利な土俵で勝負するのが王道です。法律を変えるためにロビー活動などもあります。日本の農業団体などは、自らの利益を守るための圧力団体となっています。
スポーツの世界では、自分に有利になるようにルール変更を働きかけることは、不正行為のように思われているような気がします。一方、ルールの下であらゆる手を使って勝とうとするのが、スポーツだという面もあります。
サッカーでは足を引っ掛けられた振りをしてわざと転ぶシミュレーションは反則ですが、野球ではたいして痛くもなかったデッドボールを痛がったり、落球したボールを落球していないように装ったりすることは反則とはなりません。テレビで「良き野球選手は役者であれ」などといっている元プロ野球選手を見たこともあります。
サッカーでは、シミュレーションが反則になっているだけで、ルールに違反しない範囲で何をしてもいいのが、スポーツかもしれません。それであれば、ルールそのものを変えようという行為もありうる話です。
日本のスポーツ界で最も弱いところは、保守的な考えに支配され、新しい柔軟な考え方に対応できないところです。そのために自ら自分たちに有利な方向にルールを変えようという動きがなかったのかもしれません。