私が高校生だった40年前には、ストレッチについて何も聞いたことがありませんでした。ストレッチは、関節の可動域を拡げ、怪我を防ぐ効果があると聞いたのは、その後何年もたってからでした。しかし、最近ではストレッチの効果に対して疑問が出ているようです。
私は、毎朝ストレッチをするようになって、20年以上になります。間違いなく言えることは、関節の可動域が拡がり、体が柔らかくなったことです。20代のときよりも50代の今の方が、はるかに体は柔らかくなっています。
そのため、私にはストレッチにまったく効果がないとは思えません。少なくとも体を柔らかくする効果はあります。少し調べたところ、ストレッチには次のような効果があると言われているようです。
1.関節の可動域を拡げ、体を柔らかくする
2.運動前に行うと怪我を防ぐことができる
3.運動前に行うと筋肉痛を防ぐことができる
4.運動前に行うと運動のパフォーマンスを改善する
5.運動後に行うと疲労回復を促す
私は、自分の経験から「関節の可動域を拡げ、体を柔らかくする」効果は、間違いなくあると思います。3と4と5の効果はわかりません。最近は、2の効果もないと言われているようです。
ストレッチは危険?そのエビデンスを探る!!|トップアスリートへの支援、研究 | トップアスリート株式会社
しかし、ストレッチを運動前に行うと怪我を防ぐ効果もあると思います。上のリンク先には、2の効果も否定した検証結果があると書かれています。
私が疑問に思ったのは、どのようにストレッチに怪我を防ぐ効果がないことを検証したかです。素直に考えるとストレッチを行ってから激しい運動を行うグループと、何も行わずにいきなり激しい運動を行うグループで、怪我の発生率に差があるか調べることです。
しかし、ここで気をつけなければならないのは、何も行わずいきなり激しい運動をするグループが本当に何も行わずいきなり激しい運動をするかです。運動をやっている人であれば、激しい運動の前には無意識のうちに体を軽く動かします。準備体操を無意識のうちに行います。
しかし、それでは正しい比較になりません。ストレッチとその他の準備体操で怪我を防ぐ効果に差があるかどうかを比較することになり、ストレッチに効果がないことの検証になりません。
そこを確認したくて、原論文を読んでみましたが、わかりませんでした。ストレッチに怪我を防ぐ効果がないことを検証するために、どのような検証を行ったのかきちんと書かれていません。私の疑問が入り込む余地が大いにあります。
つまり、ストレッチをやらなかったグループは、ストレッチの代わりに何らかの準備体操をしていたのではないかという疑問です。これは、被験者であれば無意識のうちにやってしまいますから、防ぐためには事前に軽く体を動かすことを禁止し、監視していなければなりません。
被験者にとっては、危険なテストです。一切の準備体操なしで急に激しい運動を行うことを要求されるのですから、私でしたらやりたいとは思いません。テストに応じる人が集まるのか疑問です。
私の経験では、ストレッチには、関節の可動域を拡げ、体を柔らかくする効果と、運動前に行うと怪我を防ぐ効果があります。そのほかの効果については、わかりません。