専門家から見た場合に、専門家かそうでないか、すぐにわかるところがどの分野にもあると思います。また、どのくらいの技量なのかを判断するポイントというものもあります。
私が専門とするシステム開発においては、障害処理です。システムが障害を起こした時にどのように処理するかは、最も重要なことです。ハードウェアは冗長構成をとり、ソフトウェアは、運用やテスト方法に気をつかいます。
ハードウェアは必ず壊れるものだと思っています。ソフトウェアにはバグがあるものだと思っています。さらに、人間は間違えるものだと思っています。特に、めったに発生しない障害が発生したような緊急時には、動転する人もいます。
ハードウェアが壊れても、ソフトウェアにどんなバグがあっても、致命的なことにならないように考えておきます。緊急時の対応は考えられる限りの場合において、きちんと決めておきます。さらに、緊急時にも落ち着いて対応できるように常日頃から訓練もします。
しろうとの人は、パソコンが壊れてから大騒ぎします。データのバックアップをとっていない場合さえあります。パソコンが壊れたら仕事にならないといいます。パソコンが壊れて困るなら、複数台のパソコンを持つべきです。
スポーツですと、上級者がその人のフォームを見ると、どのくらいの技量なのか、わかります。練習や試合の時の動きを見るとさらにわかります。スポーツは、頭で理解しても体が動かないということがありますので、自分より上級者に対しても、どのくらいの技量なのかわかる場合があります。
麻雀ですと、初心者は自分の手ばかりを見ていて、常にあがろうとします。少し上達するとおりることを覚えます。すると相手の捨て牌を見るようになります。確率的に勝とうとします。さらに上達すると、相手の情報を得ようとします。捨て牌を取り出す位置や牌の並べ方から相手の手を推測します。相手の癖を覚えます。ゲーム中にどこに視線を向けているかで、技量がわかります。
ほとんどのことは、階段状に技量が向上します。あることを知ると、あるいは気づくと、あるいはできるようになると、技量が一段向上します。すると今まで自分のいた段階の人が、低く見えてしまいます。
ところが、その上にはまだまだ何段階もの階層があります。ようやく一段階あがった人の中には、上の段階に気づかない人もいます。そうすると井の中の蛙になります。ネットで他人を非難する人のなかには、このような人が珍しくありません。
プロとアマチュアの違いとは、アマチュアは自分の属する段階あるいは自分が知覚できる段階までのことで判断するのに対し、プロはさらに上の段階があるかもしれないと考え、精進するところかもしれません。