私の専門であるシステムエンジニアの世界では技術は急速に変化しています。
そのため、新技術の勉強をするということは、当たり前のことであり、学校を卒業したら勉強しないという人はついてこれません。
『大人のための勉強法 (PHP新書)』は、学校を卒業したら勉強が必要ないような生活を送っている人への啓蒙書となっています。
そんな本を読んで気づいたところを3点書き留めておきます。
暗記数学
「数学は暗記だ」という考え方は、ちきりんさんの『自分のアタマで考えよう』で読んだことがありました。
「自分のアタマで考えよう」さもないと「まじめの罠」にはまります
大学受験勉強を効率的にするために、数学の勉強では、問題を見たらいきなり解かずに解答を見て、解答方法を覚えるという方法です。
数学の勉強とは、解答方法を覚え、それを組み合わせて出された問題を解くことだと考えます。
著者の和田さんによると、この考え方は、すでに灘高の教師の中にはあったそうです。
大学受験に合格することだけを目的として、受験勉強を効率的に進めるには良い方法だとは思いますが、これは数学の勉強ではありません。
数学の能力向上のためには、初めて見る問題を一から自分で考えて解くことが必要です。それでなければ、新しい発見はできません。
この勉強方法は、一流数学者の頭脳を大学受験に合格するだけの並みの受験生の頭脳にした可能性があります。
メタ認知
メタ認知とは、自分の問題解決にかかわる認知活動を上から見て、その問題を解くための知識をどの程度もっているかとか、自分がどのような認知パターンをとりがちかということを評価することです。
メタ認知により、問題が解けない場合に、なぜ解けないのかが明確になります。また、最適な解決方法を予測することができるようになります。
問題を適切に解決するためには、メタ認知が必要になります。ただし、どのようにすればメタ認知ができるかは、本書にも書かれていません。
常にメタ認知の存在を意識して、メタ認知の立場からものごとを考えるクセをつけることではないかと思います。
ライセンス
ライセンスや資格を得るために勉強するという人は多いと思います。医者や弁護士など資格がなければ就けない仕事もあります。
しかし、資格を持っているだけでは、雇用や収入が保証されるわけではないことに注意しなければなりません。
本書が出版された2000年時点では、弁護士や公認会計士、医師は、収入や雇用がある程度保証されていたかもしれません。
2014年時点では、そうも言えなくなってきました。需要と供給を考えると資格さえあればなんとかなるという資格は、なくなったと言えます。
ライセンスや資格は、取得にかかる時間・費用とメリットを十分に検討して目指さなければなりません。
まとめ
勉強は、自分の進む道を決めて、そのために必要な勉強をすべきです。やみくもに手当たり次第の勉強をしていては、時間が足りません。
まだ、自分の進む方向がわからないという人は、自分の興味のままに勉強することになると思います。しかし、できるだけ早く方向だけでも決めたほうが良いと思います。