『インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針』は、ウェブサイトやアプリのデザインに役に立つ人間の心理的特性を100個のエッセイで説明しています。
どれも面白い読み物ですが、印象に残ったもののエッセンスを書き留めておきます。
人はどう見るのか
脳は、目で感知した外の世界をそのまま認識しているわけではありません。
脳は、外界を素早く知覚するために、受け取った情報から、つじつまの合う世界を勝手に構築しています。その際、過去の経験則を使っています。
その性質を利用して、見え方を操作することができます。錯覚はその一種です。
また、顔の認識だけは特別です。家族の顔はすぐに見つけられます。
人はどう読むのか
読むということは、能動的な行為です。読んで理解したり記憶に残ったりする内容は、その人の経験や視点、事前の心構えに影響を受けます。
タイトルと見出しは重要です。文章の難易度は読者に合わせなければいけません。
人はどう記憶するのか
人が同時に覚えられるのは4つだけです。記憶するときは、4つずつまとめれば、覚えやすくなります。
記憶は思い出すたびに再構築されます。思い出すたびに変化している可能性があります。どんなに鮮明に記憶していても、記憶を信用しすぎてはいけません。
人はどう考えるのか
自信のない人ほど自分の考えを強く主張します。
人の考えを変えさせるのは困難です。間違いである証拠を突き付けても逆効果です。相手の主張はますます強くなります。
また、人は概念モデルを使って考えます。自分で作り上げた概念モデルに従って、ものごとを把握しようとします。
物語は人が情報を処理するのに適した形です。物語を使えば、無味乾燥なものでも、わかりやすく、興味深く、記憶しやすくなります。
例を使うと学びやすくなります。言葉で説明するだけでなく、画像を使うとわかりやすくなります。
人は分類せずにはいられません。分類されていないデータがあると、分類したくなります。分類することにより、記憶に残りやすくなります。
人はどう注目するのか
人は特定のことだけに注目し、他のことを無視することができます。しかし、自分の名前や食べ物、セックス、危険に関する情報は、無意識のうちに選別し取り込みます。
人は、複数の作業を同時に行うことは、ひとつの例外を除いてできません。マルチタスクができていると思っていても、素早く注意を切り替えているだけです。
例外は、頻繁に行ったため無意識でできるようになった肉体的な作業です。例えば歩くことです。歩きながらおしゃべりをすることはできます。
人はどうすればヤル気になるのか
人は、進歩している感じや達成感のような内的報酬の方が、食べ物やお金のような外的報酬よりもヤル気が出ます。外的報酬は、獲得した時点でヤル気が急速になくなります。