働かないアリにも存在意義があるという研究が話題になっています。
働かないアリの存在意義
アリの世界では、卵の世話のように短時間でも中断すると致命的なダメージを受ける仕事が存在します。
ここが大事です。
全員が同じように働き、同じように疲れると、卵の世話が中断し、卵が死んでしまうわけです。
そのために、普段は働かないアリがいて、普段働いているアリが疲れたときに、働き始めます。
人間社会への適用
働かないアリのようなことは、短時間でも中断すると致命的ダメージを受ける仕事では、人間社会でも行われています。交代で休みをとる仕事は、すべて当てはまります。
違いは、人間社会では、それを計画的に行っているのに対し、アリの社会では、誰も計画を立てていないことです。
反応閾値が個体ごとに異なっているため、働くアリと働かないアリに分かれています。つまり、腰の軽いアリと重いアリがいて、腰の軽いアリがまず働きます。腰の軽いアリが疲れて動けなくなると、腰の重いアリが動きだすということです。
人間社会でも、誰も計画を立てずに自動的に交代で仕事をすることはあるでしょうか?
計画的に仕事をしていないと、普通は仕事のできる人に仕事が集中します。仕事ができる人のほうが、早く質の良い結果が得られるためです。
仕事ができる人が疲れて倒れると、仕事のできない人にも仕事をやらせるしかありません。しかし、そのときの仕事は効率も結果の質も大幅に落ちることになります。
反応閾値が、仕事ができることと密接に関係しているために、このようなことが起きます。
身分制度
もしかしたら、太古に発生した身分制度は、働く人と働かない人を分けるという意味もあったのではないかという気もします。
異民族が攻めてくるという非常事態のために、身分の高い人は普段は働かなかったとも考えられます。働いて疲れていては戦えません。
第一次世界大戦より前の戦争は、国民全体が戦ったのではなく、戦闘員だけが戦いました。戦場は限られていました。
おわりに
働かないアリの存在は、卵の世話という中断できない仕事に役立ち、アリは生存競争を勝ち抜いています。
人間は、計画的に仕事を分担するという方法で、もっと効率的に仕事をしています。働かないアリのような人は、人間社会では休息をとっている人として存在を許されます。
常に働かない人は人間社会での居場所を失います。
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