消費税率は2017年度に10%に引き上げられる予定です。政府はその時に負担軽減策を検討しています。その政府案に、酒類を除く飲食料品を買ったときは、その分の消費税額が還付されるというものがあります。
消費税還付の流れ
政府案によると、消費税還付の流れは次のようになります。
店頭の流れ
- マイナンバーの個人番号カードを店頭の読み取り機にかざして個人認証する
- 店では10%の消費税を払う
- 軽減される2%分のポイントが、政府のサーバに送られ、蓄積される
還付手続き
- パソコンかスマホからマイナンバーのサイトに入り、還付申請をする
- 還付金が個人口座に振り込まれる
何を買ったかは、政府のサーバには蓄積されません。還付に必要なポイントだけを税務署が把握できる仕組みです。
消費者に必要なこと
まず、マイナンバーの個人番号カードを入手しなければなりません。当面は無料で交付されますが、原則、取りに行かなければなりません。
個人番号カードは常に持ち歩き、酒類以外の飲食料品を買った時は、店頭の読み取り機にかざさなければなりません。レストラン等で食事した際も同様です。
個人番号カードを忘れたときの対応はわかりません。
小売店に必要なこと
個人番号カードの読み取り機を導入し、政府のサーバと接続しなければなりません。その費用がいくらなのか、小売店が負担することになるのか、わかりません。
お客様からお金を受け取ったときには、酒類以外の飲食料品の価格を機械に入力しなければいけません。
大手のコンビニやスーパーであれば、既存の機械のソフトウェアを更新すれば済むかもしれません。そうすれば、自動的に酒類以外の飲食料品の価格を計算し、政府のサーバに送ることができます。
しかし、そのような機械を使っていない零細小売店や飲食店では大変です。買い物の中から、酒類以外の飲食料品を抜き出し、電卓を使って計算するしかありません。
飲食店で団体客がまとめて支払うときも大変です。
正確にするには、ひとりひとり個人番号カードを読み込ませては、その人の酒類以外の飲み食いした金額を入力することになります。
混雑時には個別支払を嫌がる小売店はたくさんあります。しかし、消費税の還付に対応するためには、個別に対処するしかなくなります。
まとめ
酒類以外の飲食料品の消費税を還付する政府案は、本当にこんなことをやろうとしているのかと思わせる内容です。
個人番号カードを持っていなければ、還付を受けられません。個人番号カードを普及させる手段として、使おうとしていることがうかがわれます。
さらに、大手の小売店や飲食店以外では、支払い時の手続きが煩雑になります。それを嫌った店や消費者が個人番号カードを使わす、還付も受けないことを期待しているのかもしれません。
政府案は、姑息な手段で消費税の還付額を減らそうとしているのではと、勘繰りたくなる方法です。