家庭教師の仕事で学生を個人事業主として扱った契約の一部が、労働基準法に触れるとして、弁護団が契約内容の是正を求める申し入れをしました。
家庭教師バイト「労基法に触れる契約」 会社に是正要求:朝日新聞デジタル
契約書には次のような不合理な内容が含まれていました。
- 指導後の報告書に記入漏れなどの不備があれば賃金を支払わない
- 怠惰な行為があればペナルティー3万円
- いかなる理由でも交代できない
弁護団の主張では、実態は個人事業主ではなく労働者なのに、労働者の権利が保障されていないということです。
学生の無知に付け込んで、不利な契約を結ばせています。
実態は、労働者であるにもかかわらず、個人事業主として契約を結んでいる話は、他でも聞くことがあります。
労働者であれば、労働基準法で保護されます。上記のような、ペナルティーを果す契約をすることはできません。
ところが、個人事業主では労働基準法は適用外です。何時間働こうが、いつ、どこで働こうが働く人の責任です。成果がなければ、支払いをしない契約もあり得ます。
個人事業主であれば、契約自由の原則で、契約内容は当事者間の自由です。どんなにブラックな条件でも、契約しだいで有効です。
問題は、働く側が労働者と個人事業主の違いをきちんと理解していないことです。このあたりは、義務教育で教えるべきことではないかと思います。
契約書などの文書を交わさずに、口約束だけで仕事をする人もいます。契約書や文書の重要性をまったく理解していない人です。
このような人は、トラブルを経験して始めて、契約書の重要性に気づきます。
個人事業主と労働者の一番の違いは、個人事業主は自分でお客様を見つけなければならないことです。仕事の条件などは、自分で交渉して決められます。
労働者は会社が仕事を用意します。会社の指定した仕事を行うことにより、給料をもらいます。そのかわり、会社の就業規則に従うことになります。
家庭教師であれば、自分で家庭教師先を見つければ個人事業主になれます。
私が大学生の時にやった家庭教師は、知人から頼まれたのがきっかけでした。報酬や条件は交渉しだいです。評判が良ければ依頼が続きます。報酬や条件も交渉しだいです。
ブラック企業に家庭教師先を頼るか、自分で見つけるかで、天と地ほども違います。