企業の経営理論を、キャリア開発、生きる目標の発見、子供の教育、家庭生活など人生のさまざまな分野に応用しています。企業の経営理論があざやかに個人の活動に適用されるさまは感動的です。ここではその概要を紹介します。
1.キャリア開発
幸せなキャリアを歩むための方法です。それは、優先事項、計画と機会のバランス、資源配分の3つの戦略からなります。
(1)優先事項
あなたが意志決定をするときの判断の基準を考えます。何を優先するかです。ここでは、動機づけ理論が使えます。
この理論は衛生要因と動機づけ要因を区別します。
衛生要因とは、少しでも欠ければ不満につながる要因です。地位や報酬は衛生要因になります。
動機づけ要因は、仕事への愛情を生み出す要因です。やりがい、評価、責任、自己成長などがあります。幸せなキャリアを歩むには、動機づけ要因が満たされる仕事を探すことです。
(2)計画と機会のバランス
計画的に自分の好きな仕事を探すことと、思いがけないチャンスを活かすこととのバランスを考えます。
経営理論では、意図的戦略と創発的戦略のバランスとなります。
どちらの戦略をとるべきか判断に迷った場合は、「これが成功するためには、どんな仮定の正しさが証明されなくてはならないだろう?」と問いかけます。そして、その仮定を証明できるかどうかを考え、判断します。
(3)資源配分
自分の時間とお金と労力を何に費やすかです。
緊急の仕事ばかりに時間をとられたり、早く見返りが得られるものにだけ力を注いだりすることには、気をつけねばなりません。
2.家庭生活
「良い金、悪い金」の理論では、必勝戦略がはっきりしない新規事業の初期の段階では、「良い金」は、「成長は気長に、利益は性急に」求められなくてはなりません。
人生への投資も順序関係があります。これを間違えると家族との関係が修復できなくなるほど悪化します。
顧客のニーズを正確に捉えられずに失敗する製品があります。同様に家族が一番に求めているものを適切に把握しないと、家庭生活も破綻します。
3.子供の教育
企業の能力を「資源」「プロセス」「優先事項」に分類するモデルがあります。
未来の能力をアウトソースして失敗する企業があります。子供の教育でも、子供が成長するプロセスを奪ってはなりません。
「どんな状況に置かれた人でも、経験の学校で適切な講座を受講することで、成功する確率を高められる」という理論があります。子供にも正しい経験をさせなければいけません。
4.家庭の文化
企業文化は、従業員に成功するために必要なことを自立的に行わせます。家庭の文化は、子供が一人になったとき、正しい判断をさせます。
5.罪人にならない
限界費用と総費用の理論では、何かを一度だけ行う限界費用は、しばしばまったく新しいものをつくる際にかかる総費用を上回ります。
同様に、一度だけの間違いが、人生を台無しにすることがあることを認識しておかなくてはなりません。
まとめ
いくつもの経営理論が個人活動に適用されています。企業は個人の集まりですから、同じ理論を適用しやすいのかもしれません。
私が一番参考になったのは、キャリア開発です。やりがいや自己成長が見込まれる仕事を選択すること、そのために自分の時間、お金、労力を何に費やすかが重要なことは、直感的に理解できます。
自分の立てたキャリア計画と、思いがけないチャンスと、択一の選択をしなければならないときの判断基準として、「これが成功するためには、どんな仮定の正しさが証明されなくてはならないだろう?」と考え、判断するというところは、非常に参考になりました。