会社が儲かるためには、プロモーションが必要です。本書には、プロモーションのテクニックがちりばめられています。その中で、印象に残った3点を紹介します。
1.お客様の感情に訴える
人は理屈よりも感情に動かされます。プロモーションの基本は感情に訴えることです。感情に訴える方法にも種類があります。
すべての生物は、快楽を求めるか苦痛から逃れるときに行動を起こします。苦痛から逃れるほうが、より強い行動要因になります。
お客様が苦痛から逃れられる面を強調した表現が、感情に訴える方法となります。痛みがなくなるという直接的なものから、悩みがなくなるという精神的なもの、ムダがなくなるという経済的なものなどがあります。
お客様の自尊心やプライドをくすぐることも感情に訴える方法です。無料サンプルを送るときには、「サンプルをご請求ください」ではなく、「サンプルを送付する許可をください」としたほうが、自尊心やプライドをくすぐることになります。
現在、政府と小売業界の間で綱引きをしている消費税還元キャンペーンも同じです。消費税アップに対する反政府感情の高まりを利用するものです。
インターネット販売では、お客様との感情的な結びつきが失われがちです。感情に訴えるプロモーションは、インターネット販売の弱点でもあります。
2.そのうち客を集める
プロモーションでは、商品を売ることではなく、興味のある人を集めることが大切です。商品を販売するよりも、商品に興味を持つ人を集めることは、ずっと簡単です。
目先の売上を伸ばそうとすると、いますぐ商品を買ってくれる「いますぐ客」だけを追いかけることになります。「いますぐ客」は、集客にもコストがかかり、ライバルもたくさんいます。
商品に興味を持つ人は、そのうち買ってくれる「そのうち客」になります。「そのうち客」は、まだライバル会社と接触していません。「そのうち客」に情報を提供していくと、「いますぐ客」に変わっていきます。
3.ニーズ・ウォンツ分析法
人は、ニーズすなわち必要性だけでは買いません。ウォンツすなわち欲求がないと購買行動を起こしません。
例えば水は常にニーズがあります。水なしで人は生きていけません。ところが、水を買ってもらうためには、ウォンツも必要です。最大のウォンツは、のどが渇いていることですが、のどが渇いていない状態で買ってももらうためには、水を買いたいというウォンツがなければ買ってもらえません。水道水よりも安心して飲みたい、おいしい水を飲みたい、高級感がある水を飲みたいというウォンツがあって、はじめて買ってもらえます。
逆に、ウォンツはあるがニーズがないものとしてダイヤの首飾りがあります。ダイヤの首飾りであれば多くの人が欲しいと思います。ところがそれだけでは買いません。ダイヤの首飾りに対するニーズがなければ買いません。今度のパーティーに着けていくアクセサリがないというニーズが必要です。
人はニーズとウォンツの両方があってはじめて購買行動を起こします。商品がお客様のニーズとウォンツをどのように満たすかを分析することがニーズ・ウォンツ分析です。
おわりに
ショッキングピンクのうさんくさい本にも見えましたが、中身はまともなプロモーションの本です。本書の内容をもとに、自分の事業領域への応用を考えれば、間違いなく儲けることができます。