個人情報を含む名簿の取得元は開示すべきと『ベネッセ情報漏えい事件の問題点』の記事に書きましたが、私と同じ意見が日経ビジネスオンラインの『名簿の“取得元の確認と開示”を義務化すべき』にも出ていました。
現在の個人情報保護法はザル法です。
個人情報が含まれる名簿を自由に売買できます。
個人情報保護法では、個人情報の売買が、オプトアウトを前提に法的に許容されています。
オプトアウトとは、「自分に関する情報を第三者に提供するのを止めてほしい」と言えば、提供を止めるということです。
これは、名簿業者ごとに言わなければなりません。名簿は売買されているわけですから、自分に関する情報を含む名簿をどの名簿業者が持っているかは、わかりません。
つまり、すべての名簿業者に言わない限り、自分の情報を名簿業者の名簿から削除することはできません。
名簿業者が禁止されていることは、不正に名簿を入手することです。今回のベネッセの事件でもわかるように、名簿業者はみな知らなかったと言います。
名簿の取得元を隠すことが業界のルールとなっています。
名簿は、NTT東西の作成している電話帳や学校の卒業者名簿からつくられます。同窓会名簿や社員名簿などを売る人もいます。
最近は作っていないと思いますが、バブルの時代には、その年の有名女子大の卒業者名簿は非常に高く売れたそうです。
その他にベネッセの事件のように不正に入手したものが出回っています。自分のどのような情報が出回っているかを知ることさえできません。
個人情報保護法施行前に住民票から写した情報だと言っている名簿業者もいます。
自分の情報を削除するには、現実的には、電話が来たり、ダイレクトメールが届いたりするたびに、名簿から名前を削除するように連絡するしかありません。
名簿の売買が合法化された背景については、『個人情報を含む名簿の売買が禁止できない理由』に書いていますが、名簿の売買を禁止することは難しいと思います。
現実的な規制は、個人情報保護法を改正し、名簿を取得するときには、相手の取得元の開示を義務化することです。
こうすることにより、名簿業者が名簿を販売するときには、名簿の種類と取得元を開示しなければなりません。取得元を知らないということはできません。
電話やダイレクトメールが来たならば、取得元を開示させ、取得元にさらに取得元を開示させることにより、芋づる式に自分の情報の所有者を見つけることができます。