「正社員をなくせばいい」に対する意見への違和感

会議風景

竹中平蔵さんが「正社員をなくせばいい」と発言したことが議論になっていました。

竹中平蔵氏の「正社員をなくせばいい」発言に賛否

竹中氏は、同じ仕事をするのならば、非正規社員であっても正社員と同じ賃金や待遇を得られる「同一労働・同一賃金」の制度が必要だとして、そのためには正規の社員と非正規社員の垣根をなくす必要があり「(同一労働・同一賃金の実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱりね、言わなきゃいけない」と発言した。

竹中さんの発言は、正社員と非正規社員がほとんど同じ仕事をしながら、賃金も待遇も違う職場で働いている非正規社員の怨嗟に近い気持ちからきていると思います。

普通は、正社員と非正規社員と同じような作業をしていても、正社員には品質・予算・納期などの管理責任があると思うので、同じ仕事をしていると思っているのは非正規社員だけという場合もあるのではないでしょうか。そのため、本当に正社員と非正規社員が同じ仕事をしている職場がどれだけあるのかよくわかりません。

正社員と非正規社員が同じ仕事をしている職場をなくし、同一労働・同一賃金を実現する方法はあります。その仕事をすべて非正規社員でやれば、市場原理が働き同じぐらいの賃金と待遇の人が同じ仕事をすることになります。これが、竹中さんの主張です。

でも、それで非正規社員の待遇が良くなるでしょうか。

「正社員をなくせばいい」発言に反発する人は、企業が簡単に従業員を解雇できると、ブラック企業ばかりが喜び、失業者が町にあふれることを懸念する人です。新しい仕事が誰でも簡単に見つかる社会であれば問題ありません。問題は社会的弱者が失業者になることです。

正社員をなくし、すべて契約社員か派遣社員になったら、サービス残業がなくなるという人もいます。これもおかしな話です。立場の弱い契約社員や派遣社員が、サービス残業をやらされるリスクは正社員とあまり変わりません。正社員だからサービス残業をさせられているのではなく、サービス残業をしなければ、仕事をやめさせられるかもしれないという危機感がサービス残業につながっています。それは、正社員も契約社員も派遣社員も変わりません。

請負契約をしている個人事業主であっても、下請けとしての立場の弱さから、契約外の作業をさせられることもあります。下請法違反になりますが、仕事を途中で打ち切られることもあると思います。そんな時でも、今後の仕事をもらうために下請法違反で訴えることもなく、泣き寝入りしている人もいるのではないでしょうか?

正社員だからといって、会社の命令にすべて従わなければならないわけでもありません。仕事以外の雑務はやらなくても、出世できないかもしれませんが、クビにはなりません。法律違反のことを命じられたら、会社を辞めた方が自分のためです。

フリーランスであれば、台風や体調の悪い時に会社に行かなくてもいいという人がいます。しかし、仕事の約束があれば、台風が来ても電車が動いていれば、あるいは多少体調が悪くても出かけていくのではないでしょうか?

正社員か非正規社員かということが問題ではありません。雇用の流動性をどう高めるかという問題です。個人としては、自分のスキルやノウハウを活かせる職場で働く方が、仕事のなくなった企業にいるよりも望ましいことです。企業としても、すでに不要となったスキルしか持っていない人を抱えているよりも、必要なスキルを持った人を雇った方が業績向上に役立ちます。

しかし、解雇規制を緩和するだけでは、ブラック企業を喜ばせるだけになります。景気を良くし、失業率を下げ、優れたスキルやノウハウを持った人がそれを必要とする企業を渡り歩く社会を実現してから、解雇規制を徐々に緩和することが現実的です。

個人としては、世の中で必要とされるスキルやノウハウを身につけることが、最も大切なことになります。

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