怒った相手から怒鳴られ、灰皿や資料を投げつけられるような状況をハイプレッシャーな状況と定義しています。ITエンジニアがそのような状況に対し、上手に対処する方法を示しています。
数百万行におよぶプログラムの一文字でも間違えると、人命にかかわる事故や、数億円の経済的損害が発生する事故が起きる可能性のある状況も、ハイプレッシャーといえると思いますが、それは本書では扱っていません。
1.原因
それでは、相手が怒鳴り、ものを投げつけてくるような状況は、どのような時に発生するのでしょうか。直接の原因として、4つあげられています。
- システムに関する障害や事件・事故
- 納得できない報告や理不尽な説明
- 期待を裏切る
- 約束を破る
また、背景として、4つあげられています。
- 普段のミスやルール違反
- 思い違いや行き違い
- 過剰な期待
- 不信感
しかし、ビジネスの場で、怒鳴り、ものを投げつける状況が発生するには、もっと大きな要素があります。相手の人です。誰もが、上記の背景のもとできっかけとなる原因が発生したとしても、怒鳴ってものを投げつける訳ではありません。そのようなことをするのは、特定の人に限られます。
このような人には2つのタイプがあります。
(1)感情のコントロールができない人
単純に感情のコントロールができない人です。自分より立場の弱い人に、上記のような状況を見つけると、頭に血を上らせて怒鳴り、ものを投げつけます。このタイプは、短時間で収まります。このような状態は、エネルギーを使うため、長時間継続しません。
(2)演技で行う人
自分の力があることをまわりの人に見せつけるため、演技で、怒鳴り、ものを投げつける人です。こちらのタイプの方がやっかいです。短時間では収まりません。人によっては、何時間でも継続します。
2.対応方法
(1)対応方法
きちんと事前準備を行い、誠意を持って謝罪すべきところは、謝罪します。相手の感情をくみ取り、話し合いへ誘導していきます。当たり前の方法となります。
(2)対応時の注意事項
対応時の注意事項もあります。
- 「迷惑をお掛けしていること」や「期待はずれであること」は謝罪しても、個々や全体の責任については謝罪しない
- お客様の立場を尊重する
- 守れない約束や無理な約束、曖昧な約束はしない
- 前向きな提案を積極的に行う
(3)理不尽な要求への対応
対応時には、実現不可能な無理難題を要求されたり、立場の強いことを利用され徹底的にいじめられることがあります。そのような場合の対応方法もまとめられています。
勝負する
お互いに本音で徹底的に話し合います。今までの険悪な関係が修復される場合も多々あります。逆に、お互いに裁判で訴訟合戦になるしかない場合もあります。
逃げる
心の病になる前に、強い人と交代してもらうことも必要です。企業としても適材適所で力を発揮してもらう方が良いことです。
我慢する
どうしても我慢しがちですが、本書では奨めていません。
訴える
暴力行為や脅迫で訴えるということもあります。ビジネスはダメになりますが、社員を守ることができます。証拠の保全が重要です。
まとめ
ITエンジニアの仕事として、あまり表に出てこない面に焦点を当てた本です。なじみのない人には、意外かもしれませんが、長く仕事をしていると、珍しくない話です。