AppleがiWatchを発表するとうわさされています。iWatchで何ができるのでしょうか?
私は、『ウェアラブルデバイスの使い方』で、腕時計型のウェアラブルデバイスでは、ちらちらと見たい情報の表示の他には、体のセンサーとしての使い方を予想しています。
佐々木俊尚さんの『ウェアラブルは何を変えるのか?』を読みましたので、自分の考えと比較してみました。
ウェアラブルはセンサー
佐々木さんはウェアラブルはセンサーになると予想しています。ここは同意見です。
GPS、高度計などで物理的な位置がわかります。
眼球の動きと周りの風景から、何を見ているかもわかります。
心拍計や発汗状態を計測するセンサーでは、運動の状態だけでなく、興奮状態や気分など、心理状態もわかります。
血管に光を照射し、血中の糖度などを計測するセンサーでは、食べた食事のカロリーや栄養成分までわかります。
あらゆるものがウェアラブルデバイスに把握されてしまうといっても過言ではありません。
プライバシー
問題になってくるのは、プライバシーです。
運動の状態や健康状態を把握し、本人にフィードバックする使い方では問題視する人はいません。
多くの人の運動・食事・睡眠の情報と健康状態を収集し、ビッグデータとして分析した場合はどうでしょうか。今までに知られていなかった新しい医学上の発見があるかもしれません。
しかし、一部の人からは自分の情報が収集・分析されることは気持ち悪いという意見が出そうです。
ちょうど、JR東日本がSuicaの情報を販売しようとしたときに、一部の人が気持ち悪いと騒いで中止になった時と同じです。
個人情報保護法には抵触しません。データから個人を特定不可能にすることは、難しいことではありません。
法律の問題ではなく、「気持ち悪い」と騒ぐ人の扱いをどうするかの問題です。
佐々木さんは、お客さんに利便性を十分に与えることで、回避することを提言しています。フィットネスこそがプライバシー問題の突破口だと書いています。
確かに、健康を維持するためにフィットネス情報をフィードバックする分には、クレームはでないと思います。
しかし、それを集めてビッグデータとして分析すると発表したとたんにクレームの嵐になるのではないでしょうか。
現在、個人情報を最も集めているのは役所や警察です。役所は法律に則り、個人情報を集めています。警察は捜査のために集めているのでしょうが、どのように使っているかは明らかになっていません。
私は、個人情報の使い方はきちんと法律で定め、適切な使われ方がされているか監視する仕組みづくりが必要だと思います。
そして、その仕組みが機能している限り、特に公表することなく、ビッグデータを使えるようにすべきです。
そうすることにより、役所や警察の個人情報の使い方にチェックを入れられるだけでなく、Twitterの炎上などに左右されずにビッグデータを有効に使えるようになります。
よくわかっていない一部の人たちが騒ぐからと言って、社会に有益なビッグデータが使われないとしたら、それは人類にとって大きな損失です。
空間ジェスチャー
佐々木さんは、空間の手のジェスチャーでデバイスを操作する空間ジェスチャーに将来性を見出しています。
しかし、空間ジェスチャーは、第三者から見た場合に気持ちの悪いものです。何もないところに向かって、手を動かしている人は奇妙に見えます。
空間ジェスチャーは、使っている人にとっても直接の反応が得られません。自分の空間ジェスチャーが有効であったのかどうか、すぐに確認できません。
私は、空間ジェスチャーには少なくとも本人と第三者に見えるものが必要だと思います。霧のようなものに映した映像などです。
これで、少なくとも第三者から何をしているかわからないということはなくなります。映像がすぐに反応すれば、本人に対しても、操作が正しく行われたかどうかのフィードバックとなります。
操作する人に対しては、手ごたえを感じるような力学的なフィードバックがあれば理想的です。
このあたりは今後の技術の進歩に期待したいところです。
コンテキスト
コンテキストとは、文脈、前後関係、背景事情といった意味です。ウェアラブルデバイスは、装着者の背景事情によりその反応を変えることができます。
たとえば、ウェアラブルデバイスが血中糖度から装着者がおなかがすいていると判断したら、その人の好みや今後の予定などにあわせて、近くのレストランを案内するといった具合です。
ちょうど非常に気の利くアシスタントが、常にそばにいるような感じです。
ここまで来ると、そのうえで人間は何をするかが問われるようになります。快適な環境の上にあぐらをかく人と、そのうえで新しい文化を築く人に分かれることになりそうです。
ここは、佐々木さんと私と同意見のところです。