自分はきちんと仕事をしているのに、他人からしばしば誤解されると思っている人がいます。
日経ビジネスオンラインに次のような記事がありました。
●マネジャー:「小野口工業の商談はどうなった」
○部下:「はい。昨年10月から営業を始めましたから、もう半年以上になります。私なりにきちんと対応してきたつもりです。昨年12月にお客様に提案を差し上げた際は、それはもう感謝していただけまして、私どもの誠意が伝わったと、このように思うわけでして……」
●マネジャー:「分かった分かった。結論から言ってほしい。商談はどうなった」
○部下:「12月に出した提案書の評判が良かったので、私としては期待しておりました。私どもの商材の強みであるスペックを噛み砕いて説明しました。スペックとは当社が誇る環境性能で……」
元の記事では、不言実行を勧めていますが、はたしてそうでしょうか?
なぜ誤解されるか
この部下は、喋りすぎるからいけないのではありません。相手の質問にきちんと答えていないために、信頼を得られないのです。
誤解されているというよりも、相手の知りたいことをきちんと伝えられないために理解されていません。
仕事ができていないことを口先でごまかそうとしている印象を与えます。
これでは、仮に仕事をきちんとしていたとしても、評価は低いものになります。
なぜ、相手の質問にきちんと答えられないのか。なぜ、相手の知りたいことを察知して、それを伝えられないのかという問題です。
この部下のような人は、大事なことと枝葉末節が区別できていません。重要なことから話すことができません。
自分のなかの順序に従って話すことしかできません。すべてが省略できないことのように感じます。
「結論から言ってほしい。」と言われても、結論自体を自分でわかっていません。だから結論から言えないのです。
解決策
それでは、このような人はどうすれば良いでしょうか。
大事なことと枝葉末節を区別できるようにならなければなりません。そのためには、以下のような訓練を行います。
自分の伝えたいことをすべて紙に書いてみます。手書きでもパソコンでも構いません。パソコンで書いた場合は印刷します。
おそらく取り留めもなく長いものになるでしょう。他の人にとっては最後まで読む気にならないものです。
そこから、自分で大事だと思うところにマーカーで線を引きます。マーカーを引く部分は、どんなに多くても文章全体の十分の一までにします。
次に、マーカーで線を引いた部分を大事だと思う順序に並べかえます。ここからはパソコンを使った方が楽になります。
並べ終わったら、全体の順序は変えないようにしながら、意味の通る文章になるように修正します。
すると、最初に書いたものの十分の一の要約ができあがります。もとの文章と比較すれば、自分の文章がどれだけ冗長だったかわかると思います。
要は、文章を要約する練習をするということです。他人の書いた文章でも構いませんが、新聞記事は適しません。ほとんどの新聞記事は、重要なことから順に書かれていますから、要約の練習になりません。
自分の言っていることが他人に理解されていないと感じる人、何を言おうとしているかわからないといわれる人、「結論から言ってくれ」としばしばいわれる人は、文章の要約の練習をお勧めします。