インターネットがあと8年で崩壊するというエントリが流れてきました。
研究者「インターネットはあと8年で崩壊する」現実的にヤバすぎる“2つのネット危機”とは? – ネタりか
簡単に要約すると、光ファイバーが運ぶことができるデータ通信量が限界に達する、電力供給量が足りなくなるという2つの理由で、インターネットがあと8年で崩壊するという議論が英国の王立協会で行われたということです。
データ通信量の危機
データ通信量が限界に達する根拠としては、現在の光ファイバーではこれ以上の通信量増幅技術の開発が見込めないことを上げています。現在この分野では技術革新が止まっているそうです。
『プレスリリース | 光ファイバ1本の伝送容量109テラビットの世界記録を樹立 | NICT-情報通信研究機構』のようなエントリもすぐに見つかりますが、技術革新が止まっているというのは何を根拠にしているのでしょうか?
仮に、現在の技術以上に高速化することができないとしても、光ケーブルを増やせばいいだけの話です。現実に海底ケーブル増設の計画などもあります。
日米間の光回線、容量4倍 グーグルが通信網接続 :日本経済新聞
また、無線による通信も高速化されています。
無線LAN速度10倍、国際規格に NTTなど20社 :日本経済新聞
データ通信料が限界を迎えるというのは何の根拠もありません。
電力供給量不足
英国の例で試算した場合、電力供給量が変わらないと仮定すると、2035年には電力のすべてがインターネットで消費されることになるそうです。
電力供給量が変わらないという仮定が、そもそもおかしな仮定です。電力供給量は電力消費量に合わせて増加していくのが普通です。
また、コンピュータなど電子機器の消費電力も年々大幅に少なくなっています。第3世代の地球シミュレータは、初代の10倍の性能で40%の消費電力です。
第3世代「地球シミュレータ」システムが本格稼働へ ~1.31PFLOPS/320TB、実効性能で約10倍に – PC Watch
結論
元のエントリでも楽観的な説もあることを伝えていますが、データ通信料が限界に達しているとか、電力供給量が不足しそうだとか、まったく根拠がありません。
最後に量子ネットワークの話が出てきますが、これこそ実用化まで10年どころではすまない技術です。
元のエントリは、単に人目を引くことを目的としたものでした。