上念司「売国経済論の正体」を読みました。
あまり経済論になじみのない私にとっては、目新しい理論が紹介されていました。ちまたにあふれる経済論を理解するためには、いくつかの「教養としての経済学」を身に着ける必要があります。「日銀が通貨発行量を増やし国債を買い取れば、デフレが解消し円安になる。そうなれば日本経済が復活し、税収も増え、債務問題も収束する」と、上念さんは言っています。「教養としての経済学」を身につけ、自分のアタマで考えれば、世の中のさまざまな経済論を理解できそうです。
「教養としての経済学」を簡単にまとめると次のようになります。
貨幣数量理論
「品薄になれば価値が上がる」
円が不足しているから、円高になっている。
ワルラスの法則
「すべての市場の超過需要の和はゼロになる」
「お金」をみんながほしがっていれば(超過需要)、「モノ」をみんな手放したがっている(超過供給)。「モノ」をみんながほしがっていれば(超過需要)、「お金」をみんな手放しがっている(超過供給)。超過供給をマイナスの超過需要と考えると、すべての市場の超過需要の和はゼロになる。
「相対価格」と「一般物価」の混同に注意
「相対価格」は個別具体的な価格、「一般物価」は世の中全体に存在する商品の価値。これらを混同すると個別具体的な不人気商品を想定して、普遍的な理論を否定する主張につながる。
国際金融のトリレンマ
「固定相場」、「金融政策の自由」、「資本移動の自由」のうち、どれか2つを選ぶと自動的に残った1つを放棄しなければならない。
課税標準化理論
戦争や天災などによる一時的な支出の増加には、一時的な財源で対処すべきである。