日本でKindleがスタートして10ヶ月以上たちました。正確な割合はわかりませんが、紙の本に比べて、Kindleの割合はまだ10分の1以下という感じです。
米国では電子書籍の売上がハードカバーの売上を抜いたという話もあります。米国と比較して日本でKindleの普及が遅れている理由を考えてみます。まず、電子書籍のメリット・デメリットを整理します。
電子書籍のメリット
- 保管に場所をとらない
- 大量に持ち運んでも軽い
- 安い
- すぐに買って読める
電子書籍のデメリット
- 品揃えが少ない
- ブラウジングがやりにくい
- 買う前に本全体を見られない
- 紙の本を読んでいるときの感覚が得られない
私は、紙の本とKindleと両方出ている場合はKindleを買っていますが、メリットとデメリットを整理するとこんなところです。
米国と日本の違い
米国と日本の違いは、Kindleの品揃えと、紙の本とKindleの価格差です。米国の方がKindleでも売られている本の割合は多く、Kindleの方がかなり安くなっています。
書店の便利さに違いがあるという話もあります。日本ですと駅前に行けば、たいてい書店があります。米国では、最寄りの書店まで車で30分ということは珍しくないようです。しかし、これはアマゾンの利用に影響を与えますが、紙の本かKindleかの選択にはあまり影響を与えないはずです。
他にも、ペーパーバックの紙質が悪いからという話がありますが、電子書籍の普及に大きな影響を与えているとは思えません。
日本のKindleの見込み
日本のほうが品揃えが少ないのは、日本の出版社が著作隣接権を持っていないためです。Kindle化のためには著者と個別交渉するしかありません。そのため、Kindle化が遅れます。
特に古い本は、書店ではあまり売れなくなっていますから、Kindleで安く売ってもいいはずです。古い本のKindle化の遅れが、日米の紙の本とKindleの価格差の違いの原因ともなっています。
出版社とアマゾンの契約が、Kindleで大幅に安く売れないものになっている可能性もあります。出版社がこれまでの取次や書店とのチャネルを考慮しているためです。
どちらにしろ、この問題の解決は時間がかかります。日米のKindleの普及率の差はますます大きくなりそうです。
注:電子書籍はKindle以外もありますが、アマゾンで紙の本と電子書籍を一緒に売っているKindleが圧倒的に優位な立場にありますので、本記事ではKindleだけについて考えました。