リーダーは現場に飛び込めという言葉があります。しかし、これが通じるのは飛び込めば現場の状況がわかる小さな現場だけです。それでは、リーダーは現場をどのような方法で把握すれば良いのでしょうか。
それは、現場の大きさで違います。それぞれの現場の人数で分けて考えてみましょう。
1階層(7人)まで
7という数字は、普通の人が同時に記憶できる数です。もちろん記憶力のいい人は、もっとたくさんのことを同時に記憶できます。記憶力は、個人差もあり、年齢により衰えていきます。それでも、7つぐらいまででしたら、ほとんどの人が同時に記憶できます。
リーダーが同時に状況を把握できるメンバーの数も同じぐらいの数字になります。7人ぐらいまでの集団であれば、そこにしばらく一緒にいれば、たいていのことは把握できます。
2階層(7×7人)まで
7人の直属の部下の配下にそれぞれ7人までの人がいる組織です。7人というのは同時に状況を把握できるメンバーの数で、2段階の階層構造になっていることを意味しています。
このくらいの組織であれば、普段は直属の7人の話を聞いていて、何か問題があれば、その配下のメンバーからも話を聞くということができます。現場に飛び込んでなんとかなるのは、このくらいまでの大きさの組織です。
3階層以上
さらに階層が増え、3階層以上の組織になると、もはやひとりの人が全体を把握することはできません。信頼の置ける直属の部下を育てなければなりません。そして、その直属の部下に仕事を任せなければなりません。
仕事を分担して任せるときには、全員が全体の状況を把握できるようにしておくことが理想です。高度な機密事項がある場合には、機密事項があること自体を秘密にすべきですが、そうでなければできるだけオープンにします。
人は、問題があってもなかなかそれを認めたがらないものです。何とか自分で解決しようとします。それが報告を遅らせ、事態を手遅れにしてしまいます。
それを防ぐのが、全員が状況を定量的に把握できる仕組みです。定量的に全員にオープンになるため、隠しておくことができません。問題があることを認めざるを得ません。そうして初めて、組織として解決のための最善の手を打つことができます。
まとめ
リーダーが現場に飛び込み、問題を小さいうちに解決できるのは、小さな組織だけです。大きな組織では、ひとりですべての現場を把握することは不可能になります。だから、問題が発生したときに、部下から報告を受けるまで何も知らないということが起きます。
部下から適切な時期に報告が来るのは、むしろ良いことです。問題が大きくなり、もはや手の打ちようがなくなり、組織の外部から問題を指摘されて、初めてリーダーが問題を知る場合もあります。
それを防ぐのが定量的に組織の状況をオープンにする仕組みです。リーダーは、それを構築しなければなりません。