混合診療が認められない理由への疑問 | 定年起業のためのウェブコンサルティング

混合診療が認められない理由への疑問

点滴

2014年4月26日付朝日新聞に『(いちからわかる!)混合診療って何なの?:朝日新聞デジタル』というコラムが掲載されていました。

ちょうどいいので、混合診療に関する疑問点をまとめてみます。

混合診療とは

混合診療とは、健康保険の範囲の治療と健康保険の範囲外の治療を混合することです。健康保険の範囲内の治療は、患者の負担は3~1割です。混合診療の場合、健康保険の範囲の治療まで患者の10割負担となってしまいます。

混合診療が健康保険の範囲の治療まで患者の10割負担となる理由

混合診療が健康保険の範囲の治療まで患者の10割負担となる理由が、まったくわかりません。この記事では、次のように書かれています。

効果がない自由診療とセットで、保険が適用される入院費や薬代で医者が稼(かせ)ぐこともできてしまう。

悪徳医師が、保険の適用される治療で病気を直しながら、一緒に効果のない自由診療で高額な治療費を受け取るということでしょうか。

この意味であるならば、効果のない自由診療にお金を払うかどうかを決めるのは患者自身です。なんの問題もないのではないでしょうか。

日本医師会ホームページ『混合診療ってなに?~混合診療の意味するものと危険性~』の説明は、さらに的外れです。

まず、混合診療が認められていない理由を次のように説明しています。

日本では、健康保険の医療に関する価格を厚生労働大臣が決めています。
そして、健康保険の範囲内の診療と範囲を超えた診療が同時に行われた場合でも、平等な医療を提供するために、範囲外の診療に関する費用を患者さんから徴収することを禁止しています。

もし、患者さんから費用を別途徴収した場合は、その疾病に関する一連の診療の費用は、初診に遡って「自由診療」として全額患者さん負担となるルールになっています。

これは、単なるルール上の理由です。厚生労働大臣が決めていることだと逃げています。

求められているのは、混合診療が健康保険の範囲の治療まで患者の10割負担とすべき理由です。

また、混合診療の問題点として次のことをあげています。

(1)政府は、財政難を理由に、保険の給付範囲を見直そうとしています。混合診療を認めることによって、現在健康保険でみている療養までも、「保険外」とする可能性があります。

混合診療を認めることと、現在健康保険でみている療法を保険外とすることとどのような関係があるというのでしょうか。問題をすり替えてはいけません。

(2)混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者さんの負担となり、お金のある人とない人の間で、不公平が生じます。

保険外の診療の費用が患者の負担となるのは、混合診療が導入されてもされなくても同じです。むしろ、混合診療が導入されないと、健康保険で見ている療法までも10割患者負担となり、経済的余裕のない人は自由診療を受けにくくなります。

(3)医療は、患者さんの健康や命という、もっとも大切な財産を扱うものです。お金の有無で区別すべきものではありません。「保険外」としてとり扱われる診療の内容によっては、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることになりかねません。

「保険外」としてとり扱われる診療の内容によっては、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることは、混合診療が認められないほうが起こることです。

混合診療が導入されないと、健康保険で見ている療法までも10割患者負担となり、経済的余裕のない人は自由診療を受けにくくなります。

こんなことも書かれています。

まず、いまの薬の承認制度が、必ずしも判断基準が明らかでないことや、審査・承認までの期間が長すぎるという根本的な問題があります。製造や輸入の承認や健康保険適用の判断基準を明確にして、審議や結果をオープンにすることが必要です。
そのうえで保険適用されなかった薬は、有効性や安全性等の問題が指摘されたものと考えられます。

このような薬の使用を混合診療として保険外で認めれば、結果的に使用を促進し、重大な健康被害等が全国に拡大するおそれがあります。保険外であっても、安易に認めるべきではありません。

好意的に解釈すれば、有用な療法は保険適用とすべきであり、自由診療は有効性や安全性が認められていないものなので、自由診療が行われやすくなる混合診療は認めるべきではないということです。

しかし、「いまの薬の承認制度が、必ずしも判断基準が明らかでないことや、審査・承認までの期間が長すぎるという根本的な問題」があることは認めており、そのために自由診療を望む人がいることを無視しています。

まとめ

以上、見てきたように、混合診療の場合に、健康保険の適用内まで患者の全額負担とする合理的な理由はまったくありません。

日本医師会ホームページの説明は、論理的思考が得意でない人をごまかそうとしているように思えます。

直感的に、混合診療が認められない理由として考えられることは、自由診療を望む患者から、健康保険の適用内の費用まで全額ふんだくれるという既得権益を守りたいというものです。

自由診療の有効性や安全性に疑問があるならば、それを健康保険の範囲内の療法の費用を全額患者負担とすることでコントロールしようとすることは間違っています。

自由診療を受けるべきか否かについては、医師と患者の間には情報に圧倒的な偏りがあります。経済的に余裕のある人であれば、医師の勧めに従うのではないでしょうか。

厚生労働省や日本医師会は、混合診療の場合に健康保険の適用内まで患者の全額負担とする合理的な理由があるならば、それをきちんと説明すべきです。

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