Steve Jobsの引退が発表されました。彼の功績について考えてみました。
1.Macintosh/iPod/iPhone/iPadといった商品を作り出したこと
MacintoshのGUIとマウスは、ゼロックス パロアルト研究所のAltoやXerox Starで既に実現されていたものでした。しかし、商業ベースで成功したのはMacintoshが最初でした。
iPod以前に発売されていたMP3プレーヤーは数種類あります。どれも取り込んだ曲を管理するソフトウェアの使い勝手は満足のいくものではありませんでした。
iPhoneの前にも、Appleが失敗したニュートンやパーム・パイロット等のPDAがありました。
iPadはアラン・ケイの提唱したダイナブックに近い商品といえますが、WindowsのタブレットPCは既に発売されていました。
Macintosh/iPod/iPhone/iPadに共通しているのは、まったく新しい機能を持ったり、新しいコンセプトに基づいた商品というものではなく、デザインと使い勝手へのこだわりです。Steve Jobsの徹底的なこだわりとリーダーシップがあって初めて商品化できたといえます。
2.音楽をネットワークで売るというビジネスモデルを成立させたこと
iPodの販売に際し、違法コピーで悩まされていた音楽業界を説得し、ネットワークで音楽を売るという新しいビジネスモデルを成立させました。これは、Jobsの交渉力のたまものです。
3.Appleを復活させたこと
倒産寸前だったAppleを株式時価総額で一時世界一位となるまでに復活させました。1997年、Steve JobsはライバルのMicrosoftから1億5000万ドルの資金を引き出しました。MacintoshがOfficeとInternet Explorerの新たな市場となり、AppleはMicrosoftへの訴訟を取り下げ、Microsoftは米司法省からの独占禁止法違反の追及を弱められる。これらを駆使した見事な交渉だったと思います。
Steve Jobsがなぜこれほどの功績を残せたか。ひとえに彼の内的動機と仕事・市場が一致していたからだと思います。彼にとって、Macintosh/iPod/iPhone/iPadのことを考えることは、ワクワクして、楽しくてしかたのないことだったはずです。寝る間を惜しんで働いてもまったく苦になりません。改めて、自身の内面の声にしたがって働いていくという生き方のすごさを考えました。